★ひとつ星★

□まちぶせ
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夕暮れの街角、見かけた喫茶店で座席の空きを見ようとウィンドウ越しに中を覗いてみた。
満席かぁ〜
通りすぎようと目を背けかけた視界の端に見覚えがある顔が映り込んできた。

切れ長の瞳、口角のあがった口元、きれいな孤を描く輪郭…
店の奥でここからは見えづらかったけれども、それでも僕の目に飛び込んでくる。
ヒョンだ!!
思わぬ偶然に浮き足立ち、店に入ろうとしたその時−
ヒョンが向かいの誰かに話しかけ、そこでようやく僕はヒョンにツレがいることに気付いた。
そしてそのツレもまた見覚えがある…というか 僕もよく知る人だった。

な、なんであの二人が…
頭が瞬間くらくらした。
別に僕だってメンバーの誰かと二人で出かけることはある。
だからヒョンが誰かといても不思議じゃない。
でもそれとは明らかに違っていた。
微笑み見つめ合うその姿は どこかのカップルが見せる姿と同じもので、少し頬を紅潮させた幸せそうなヒョンの笑顔は 僕たちに見せる笑顔と同じものじゃない。
ま、まさかね… 自分の見たことを否定したかった。
でも最近急にヒョンは綺麗になった。
元から綺麗だったけど、それにキラキラ感がさらに加わったというか…
それはこんな風に二人で会ってたからだったのか、と思うと悔しさが溢れてくる。

…ヒョンが好きだった。
胸の奥でずっと想っていた。
もうすぐ僕がきっとヒョンを振り向かせる、そう誓っていた。

こんな事で諦めたりなんか出来ない。
僕は店に入ると 二人が座るテーブルへと進んだ。
「ソ、ソンモ!?」
「そこから二人が見えたから入ってきちゃった。僕もよい?」
もちろん否定はされない。
そうやって何気ないフリをして仲間に加わった。
二人もさっきまでの甘いムードを消して、仲間としての会話をしている。
でももう僕は気付いてしまったから。
僕はテーブルを挟んで ヒョンを熱く見つめた。

…好きだったんだ、ヒョン。
胸の奥でずっと。
もうすぐ僕はきっと貴方を振り向かせる。

貴方を振り向かせる…



《おわり》


次ページは解説というか…うだうだ
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