★ひとつ星★

□いち
1ページ/2ページ

「スタート15分前、そろそろスタンバイです!!」
スタッフから声がかかり、僕たちは楽屋を出てステージのほうに向かっていた。

あ、れ?
ソンジェヒョンがいない。
寝てはいなかったはずだよな?と思いながら念のため楽屋に戻ると ヒョンはそこにいるのが当たり前のような顔をして立っていた。
「ナニのんびりしてるの!?もう移動しなきゃ!」
あせって言う僕にたいしてソンジェヒョンは余裕な顔。
「気づいて戻ってくるのはゴニルだと思ってたよ」
そう言いながら笑顔でジッと僕を見つめて近づいて、僕が壁に追いついめられたところで首に腕を回して顔を寄せてくる。

くる!!
キスされるのかと身構えたものの そこでソンジェヒョンの動きは止まっている。
え!?
なにもないことに驚いて目をあけると そこには僕を上目遣いで見る絶品の笑顔があった。
こ、これは…
僕からキスしろって言われてるって思っていいんだよね?
ていうか この状況でキスしたくならない奴はいないよな。
軽く唇に触れるようにキスをしていつものセリフを口にした。
「好きだよ」
そしてソンジェヒョンもいつものセリフで答えてくる。
「うん、知ってる」
好きって答えてはくれない。
分かっていたけどくやしくて 今度は深く口づけ 舌をまさぐる。
何度も唇を重ねなおして絡めた舌の熱でちょっと頭がぽーっとしちゃったのがいけない。
「ねぇ、ソンジェヒョンは僕のこと好き?」
言っちゃいけないセリフだったのに、つい口から出てしまっていた。
しまった!と思ったときはもう遅くて ヒョンはちょっといじわるな目線を僕に向けている。

「知らないの?
…なら教えてあげる」
その言葉と同時に僕のシャツはたくしあげられ 露わになった乳首をつままれる。
ソンジェヒョンはもう片方の乳首を舐めながら 空いてる右手で僕自身にズボンの上から触れてきた。
「あっ…んっ」
ちょっと待って!!
もうステージ前の声かかってるのに!!
押しのけようとソンジェヒョンの肩においた手は乳首から離したソンジェヒョンの手にあっさり掴まれる。
ソンジェヒョン、こうゆうときの力は半端ないんだから…
躰を支配しはじめた感覚に負けないようヒョンに抗議をしてみる。
「誰か呼びにきちゃうからっっ」
ソンジェヒョンはチラッと僕を見上げて 僕の胸から唇を離す。
でもその右手はまだ僕を捉えて離れない。

本当やばいからヒョン、、、スタッフに見られたらどうするのさ。
僕が何を心配してるのか分からないわけがないソンジェヒョンが笑ってみせたその顔はさっきよりいじわるに見える…

「大丈夫、このドア内開きだし」
え!?
ようやく気づいた、ここ、ドアの前だ…
僕が立ってる限りは大丈夫なわけで、きっとヒョンははじめからそのつもりで僕をここに追いつめたんだろう。
その計算ぷりがたまらなくこわい時がある。
そう思ったことが顔に出てたんだろう、ヒョンは満足げに微笑んで 今度は首筋にキスをしてきた。
右手は相変わらず僕を弄んでいる。

「これでもまだ分からない?」
耳元で囁く甘い声。

わかった、わかったから!! お願いだからもぉ離して…
「ぃや…や、め…」
必死に抗議しようとしてるのに 躰を支配する甘い感覚で声にならない。
「だってゴニルが聞いてきたんだよ?」
ソンジェヒョンは明らかにかたくなった僕の形を指でたどって先端を捉える。
そこに爪をたてられ、ビリビリとした刺激が脳に走ってくる。
「や…あ…ぁ…」
布地をはさんで与えられる感覚はこうなるともうじれったい限りだ。
「…ちゃんと触って…」
熱にまかせて口にした僕の言葉にソンジェヒョンは嬉しそうにキスをしてくれた。
「じゃ、ゴニルがベルトをはずして」
言葉に誘われるままベルトをはずす。
僕のところまで侵入してくるソンジェヒョンを待ち切れないで 自らソンジェヒョンの手を掴んで 僕に触れてもらおうとしたその時、
「もうステージなんだけど」
ソンジェヒョンの冷静な声に我にかえる。
ソンジェヒョンはとても愛らしく でもとても意地のわるい微笑みを浮かべて僕を見ていた。
しまった!!
完全にソンジェヒョンの手中におちていた。。。
ソンジェヒョンは僕の手を振りほどき 僕から躰をはなす。

タイミングよく廊下から僕たち二人を呼ぶ声がする。

「もう行かなきゃね」
力がぬけて座りこんだ僕の肩に手をおいて顔を覗きこみヒョンは笑いかけてきた。
「これからステージなのにこんなに衣装を着くずしたらダメでしょ?」
更に涼しげな顔で僕のふくらみをピンッと指ではじき、まだほてった感覚のままの僕はうっかり声をだしてしまった。
「ん ぁあ…」
「だから、これからステージなのにこんなになっててどうするの?」

…ほんっとにこの人ってば…
「いじわる…」
キッとソンジェヒョンを睨んだつもりだったけど 間違いなく涙目になってるだろう。
「ゴニルが聞いてくるから答えたつもりだけど?
答えになってなかった?」
好き?って聞いてきたお前がわるい、ソンジェヒョンの言葉に込められた意味。
「ごめんなさい」
衣装を整えながら謝るしかない僕。
「分かればよろしい」

ソンジェヒョンに促されて、楽屋をでる。
なんとかちゃんと状態を整え通路を歩く僕を振り返り ソンジェヒョンはいたずらっ子な顔で声をかけてきた。
「ゴニル、ちゃんとソコおさまったね。そのままステージ時間になったら面白かったのに」
こ、この人は〜っっ
あくまでも意地が悪い、でもそんな所が好きだから仕方ない。




あの夜、ソンジェヒョンと想いが通じた夜、ヒョンは言った。
「一度しか言わない。もう二度と言わないからちゃんと脳裏に刻みつけるんだよ?」
その言葉通り、あの夜の一回限り二度と好きだと言ってくれていない。
今みたいに思わず聞いてしまうと、甘い罰を与えられる。

「僕はゴニルのことを弟だなんて思わない。男として好きです」
面を向かいあわせて、はっきりと丁寧に僕に告げてくれた言葉、しっかり脳裏に刻みつけてはいる。
でもやっぱり たまには言ってほしいんだ。
ねぇ ソンジェヒョン、 どうしたらまた好きって言ってくれるのかな?

ステージに向かう後ろ姿を 僕はただ切なく見るしかなかった…




《おわり》
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ