黄黒黄(五十音)2
□……をください。(完)
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そわそわ。
何だか朝から落ち着かない感じで黄瀬君が僕を見ています。
「……」
休み時間の度にやってきては、じっと僕の顔を見ていきます
(僕、彼に何かしたんでしょうか?)
そんな疑問を抱いたまま、テスト前で午前中で帰れる日、部活は休み。
帰って勉強でもしようと教室を出たとたんにーーー
「黒子っち!!」
ガシリと腕を捕まえられたと思ったら、ズルズルと引きずられました。
「…黄瀬くん、暑いです。
放して欲しいんですけど。」
「嫌っス!!
今日は俺にとって大事な日なんっスから!!
黒子っちの時間をください!!」
**
「承諾はしてないんですけど……」
「……新作ドーナツご馳走するから許して!!」
黄瀬くんに連れて来られたのは
ドーナツ屋だった。
「テスト勉強してていいから、側に居て欲しいっス!!」
「……」
何故、そんなに必死になるのかはわかりませんでしたが……
「勉強、できないです。
明日の教科の教科書は家なので。」
買って貰った夏限定のラムネソーダは寒天で出来た★が浮いていた。
目の前にあるドーナツも星形。
中にはソーダ味のクリームがたっぷりと詰まっていた。
そのドーナツを頬張る。
甘酸っぱくて美味しい……
ふわり…
空気が柔らかくなった気がした。
目の前の黄瀬くんが微笑ましそうに僕を見ていた。
「そのドーナツ美味しいんっスね〜♥」
その後直ぐに、黄瀬くんが僕の星形のドーナツを食べた!!
パク
「!!」
「…ん。美味しい!!」
「自分の分のドーナツを食べてください!」
僕が怒ると
「黒子っちが食べてるから美味しく見えるんっスよ〜!ごめん、俺のドーナツも食べて良いから。」
笑いながら自分のドーナツを渡してきた。
「今度は油断しません!!」
黄瀬くんから貰った丸型のサワークリームが挟んであるドーナツを急いで食べた。
「そんなに、急いで食べなくても良いのに。」
クスクスと、黄瀬くんは笑う。
何だか調子が狂う。
「今日の君は、なんだかおかしいです。」
「そう?」
首を傾げる黄瀬くん。
「それは、もう食べないんっスか?」
「…君がかじったじゃないですか。」
星形か、三角だったのか、わからなくなってしまったドーナツ
「そんなこと言わないで、食べて。」
ニッコリ笑う。
「嫌です。」
「黒子っち、勿体無いお化けでるっスよ〜」
「責任をとって、君がたべてください。」
黄瀬くんがからかい口調でいうので怒って言い返した。
「俺のこと嫌い?」
「……いきなり、何を言うんですか?」
「俺がかじったドーナツ食べてくれない……」
なんなんですか?!
いつもなら、“ひどっ“て言った後、自分で食べるのに…
なんか……
「回りくどいですね。」