黒子でパロディ

□(完)大輝1/2〜桃ちゃんのお好み焼き〜
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 ……約11年ほど前。


 現在16歳である格闘家の息子 大輝と
お好み焼き屋の娘 さつきが出会った。



 ジュウウウ〜〜

 鉄板で焼かれる美味しそうなソースの匂いに誘われて現れた腹ぺこの親子。

 ぐぅぅぅぅ〜〜


 「腹減った。親父!お好み焼き食べたい!!」

 屋台スタイルのお好み焼き屋
〜お好み焼き桃ちゃん〜の暖簾が揺れる。


 「そんな金あるわけがない!」


 と、父親に言われる男の子。

 「……誰の所為だよ、誰の!!」

 すかさず突っ込みを入れる。

 「お前が生活費をパチンコで使い果たしたからだろうが!!
俺が折角、実演格闘技で稼いだお金を!!」

 ボカっ!!
と父親である慎二の頭を殴った。

 「俺は父親だぞ!息子のくせに何殴ってんの!!」


 慎二は大輝にそう言い、2人は喧嘩を始めたーーー


 「ちょっと、あなたたち!!
喧嘩は余所でやってくれない!!」


 2人が喧嘩をし始めたところでピンクの長い髪の女の子が現れた。

 青いハッピと頭に鉢巻き、腕には襷。
背中には大きなお好み焼きを焼くときに使うヘラ(名前ド忘れしました……)を刺していた。


 「なんらよ(何だよ)?!じゃまひるにゃ(邪魔すんな)!!」

 口の中に指を入れられて引っ張られていたのでまともに喋れない大輝。


 目はガンを飛ばしていた。


 「……っーー!!あなたたちが、喧嘩を始めるからお客さんが居なくなっちゃったんだからね!!
パパのじゃましないで!!」


 少し怯んだが、女の子はそう言って大きな鉄板のヘラで2人を殴った!!


 ゴイー〜〜〜ン!!


 その鉄板のヘラが頭に直撃したふたりは気絶した……


 ●●●



 ……っっ……


 はっ!!

 しばらくして目が覚めた大輝。

 鼻孔には美味しそうなソースの匂い。


 「ここは?」


 気が付いた場所は畳の上だった。



 「…やっと、ほきたのか(起きたのか)大輝。ごっくん……」

 自分の父親がお好み焼きを食べながら声を掛けてきた。


 どうやら、お店の中みたいだ。

 畳の席とカウンターの席が並ぶ店内。


 「……あれ?俺外に居たはず……」

 くぉぉぉ 〜〜〜


 鳴るお腹。

 「どーでもいい!!とにかく俺も食べる!!」

 慎二がカウンターで食べていたお好み焼きにかぶりつく!!

 「あちっっー!!」

と、言いながら。

 「何をするだよーー!!これは俺のお好み焼き!!」


 息子に取られまいと必死に抵抗する。


 「ちょっと、大人げないですよ!慎二さん!!」


 ジュウウウ〜

 鉢巻きを頭に巻いて、お好み焼きを焼いている男が目の前にいた。


 「いや〜、美味しくてつい。」

 と、笑う慎二。

 「大丈夫だよ。まだまだ焼くからね〜」


 優しく笑い、男は次々にお好み焼きを焼いた。


 大輝はお腹いっぱい食べることができた。


 ………

 そして、落ち着いてからどうしてここにいるのかということを聞いた。



 「それは、私があなたたちを殴ったからよ。」


 お店の厨房の裏から女の子が現れた。

 「ヘラ女!!」


 ベチャッ!!

 「あっっ!!」


 焼きたてのお好み焼きが顔面に!!
大輝は顔が真っ赤だ!!


 「こら、さつき。お好み焼きが勿体ないから止めなさい。」

 「……だって……」


 男に怒られる女の子。

 「めっ!」

「……はい。」

 しゅんとする。


 「そんなに、怒らないでやってください。
家の息子は口悪いですから〜」
ガハハ、笑う慎二を睨む大輝。


 「娘が失礼しました。
気絶したあなた方を私の店(家)に運んだんですよ」


 「あの時はよくもやってくれたな!!」

 痛みを思い出し怒る大輝。


 「あなたたちが、お店の前で騒ぐからでしょう!!今日は近くでイベントしてたから屋台で稼ぎに行ったのに!」


 「こらこら、だからと言って、暴力はいけないよ。
聞けば路頭に迷って食べる物が無かったから喧嘩してたらしいよ。
 だから、しばらくこのお店で2人に働いてもらうことにしたんだ。
だから、仲良くするんだよ。」


 …………


 そういう話になっていた。


  さつきと大輝のふたりはとても嫌そうな顔をした。


 
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