ORIGINAL
□第二章
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照明が消えたお部屋に、心細く灯るロウソクの明かり。
「♪Happy birthday to you…」
ルチノーの甲高い歌が、すごく心地良い。
ルチノーは、胸元のボタンを押すと歌を歌ってくれる"シンガードール"なんだそうだ。
そして今、彼女はご主人様の為に歌を歌っている。
もちろん、いつものように口を大きく開けてはなく…
口を固く結んだまま、録音された音声を流しているのだ。
「ルチノーは歌がお上手ね」
ご主人様は優しく微笑むと、わずかな明かりを灯すロウソクを吹き消した。