【銀魂】

□七章・夢と現実と
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莎花は布団を片付け、隊服に身を包んだ。

静まり返った屯所内。

夜勤の見回りの帰宅もまだ少し先だ。

莎花は道場へと足を運んだ。

薄暗い道場に風が入り込むと同時に、莎花も身を滑らせた。

竹刀を手に中段の構え。

相手を想像し、打ち込んだ。

ちくりとする背の痛みは、案外平気だった。

(貴女はまだ戦えない)

お母様、、私はもう戦える。

もっと頑張ればよかったのかもしれない。

兄様との剣の稽古、、冗談で打ち込み合ったあの日々。

少しでも力があったなら、あの日、私はあの場所で隠れることもなかった。

命を落としたとしても、一緒に落とせた。

命を捨てたいわけじゃない。

一緒にいたかった。

でも、、、、。

竹刀の剣先が床に音をたてる。

今、私は戦えない。

(一番隊から外す)

(現場には出るな)

たぶん、刀を握ることさえ許されないだろう。

近いのに、遠い。

会いたいのに、会えない。

涙が、頬を伝う。

ダメだ。

きっと、夢のせいだ。

謹慎処分なんていくらでもやってきた。

今回に限ることじゃない。

手の甲で涙を拭うと、もう一度竹刀を上げた。

上段から、振り下ろす。

「言ってくれれば、色々と出来るかもしれないけどなぁ。なぁ、トシ。」

「、、、、そうだな。」

近藤、土方が見ていたことは、莎花は知らない。


『八章・内勤は嫌い』


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