【ONE PIECE】
□後者の涙
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莎花「ハァ、ハァ―――」
肩を上下させながら荒い息を抑えるように手を胸に当てた。
見晴らしのいい高台の公園は、朝から夜まで人気が絶える事はなく、紫色した空の今もベンチに恋人達が身体を寄せ合って座っていた。
別に、思い入れのある公園なわけじゃない。
この公園で告白されたとか、別れ話をしたとか、何も無い。
ただ――…。
『クソ綺麗な公園見つけたんだ。今度ナミさんと行きてェな。』
鼻の下を伸ばした馬鹿が言っていたから。
もしかして、この景色を逸早く見に来ていると思ったのに。
莎花「いない。」
額に滲む汗をそのままに踵を返して公園を出た。
駆け込んで入った公園をゆっくりと歩いて出て行く。
今日は、朝からついてないな。
突然に入ったバイト。
お陰で朝ご飯も食べてないし。
暗くなりだした道を歩きながら今日全てのついてない出来事の元凶を1人に絞った。
そうだ――――…全部、アイツが、悪いんだ。