【銀魂】
□四章・降格処分
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屯所内は案外静まっていた。
出迎えがあるわけでもなく、莎花は一人ただいまー。と自室に向かった。
襖を開き、隊服のジャケットを放り投げ、思案する。
なんだかんだとしてたら皆が帰ってくる。
その前にお風呂に入ろうと、タオルと着替えを手に自室を後にした。
『痛いッ、痛い、痛い、痛い、痛いッ!!』
シャワーを浴びる莎花の肩から背中へと流れる赤に奥歯を噛み締める。
排水溝へと流れる血が渦巻いて消えていく。
『はぁ。化膿止めでも飲んどくか。』
そんな深くはない切り傷。
肩から肩甲骨までの一本の線。
本日何度目かの溜め息を吐く。
莎花はシャワーを終え、浴衣に着替えて自室へと戻った。
戻るついでに台所からお酒をもらうことも忘れずに。
窓枠に座り、一人月に向かって乾杯と杯を掲げる。
背中の傷が痛むのは、仕方ない話で、改めて自分の失態に舌打ちしたくなる。
『似てないよ。あんなやつ。なんで、兄様と間違えたりしたのよ。』
ホンのちょっと、びっくりしたのは、、目元が似ていたから。
倒れた浪士を見たところで、それはまったく似てなかったのに。
会いたいと、会えるかもと、願望が募り募ってしまっているのかも。
あの場所に兄様がいる確証もないのに、、。
兄様は父の生き様を尊敬していた。
だからこそ、私は期待しているのかもしれない。
ここにいれば、いつか会えるんじゃないか、と。
場所は何処であれ、会いたい。
きっと生きている。