お題
□青い恋をしている10題
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《曖昧すぎて壊れやすくて》
好きなくせに馬鹿みたい
の竹谷視点。
いつの頃からだったろうか。あいつを意識するようになったのは。いつの間にか目で追う自分がいる。
俺が入学した頃、とある噂を聞いた。真っ黒な髪を高く結って、大きな目をきゅるきゅるさせる、女みたいな奴がいる、という噂だ。そう言ってあいつはいつもクラスのみんなにイジメられていた。俺も興味本位で、三郎に連れられ、雷蔵も加えた三人でい組の教室に噂の奴を見に行ったのだ。
一目兵助を見たあの時から、俺は兵助から目を離せなくなっていた。
今考えてみたら、これが恋に落ちるということなのかもしれない
それに気付いたのは、つい最近なのだから情けない。しかも三郎に言い当てられるとは。
でも、
伝えようとは思わない
だってそんなことしたら―
兵助、お前は―
(今までのように俺を見てくれはしないだろう?)
そんなことを、豆腐を食べる兵助を見て、俺は思うのだった。