お題
□青い恋をしている10題
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《好きなくせに馬鹿みたい》
「はぁ…」
今日何度目か分からない溜め息をつく。気が付くといつもはっちゃんを目で追ってる自分がいる。はっちゃんの行動一つ一つを目で追ってしまう。なんだかストーカーみたいた。こんなこと駄目だと言い聞かせるけど。駄目だ。あの声を反射的にキャッチしてしまう。
「兵助、」
「…ああ、三郎」
振り向けば、三郎がムスッとした表情で仁王立ちしていた。
「どうしたんだよ」
「それはこっちの台詞だ!」
「はぁ?」
「何回も呼んでるんだけど!」
全く気付かなかった。はっちゃんに夢中だったからだ。
「あ、ごめん…考え事…」
「ハチのこと?」
「!…違うっ!」
「ふーん…?」
そうやって三郎はニヤニヤと笑う。
三郎には全部ばれているらしい。
そう、俺ははっちゃんが…
「兵助!どした?眉間に皺よってんぞ」
突然はっちゃんが目の前にいた。
俺は今のままでいい。
なんて嘘だけど、きっと伝えてしまったら俺は―
今までと違う関係になるのが怖い
なんて、馬鹿だって―
君は言うだろうね
(優しい君に甘えてしまう関係は嫌だから)