宝物部屋(戴き物小説)2

□赤ずきん
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 家に帰る途中で姿を消した赤ずきんの岬くんを追って、猟師の小次郎が狼の若林の家に行くと、岬くんはステキな椅子に座って、ケーキを食べていました。
「俺の持っている物は何だってあげるから、一緒にいて」
「若林くん、一緒にはいられないけど、もう友達だよ?」
「友達、じゃ嫌なんだ」
そんな会話をしている二人に猟師の小次郎は言います。
「岬、気をつけろ。そんなことを言って、狼はお前を食うつもりなんだ」
小次郎の言葉に、岬くんは小首をかしげます。
「若林くん、僕を食べるの?」
「まさか。大事にするさ。…時々は食べたくなるかも知れないけど」
「若林くん」
猟師の小次郎が呆れて帰った後、二人は幸せに暮らしました。勿論、岬くんが時々食べられてしまったことは言うまでもありません。



おしまい
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