図書館4(小説)

□放課後の恋愛白書
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「ぬあんだとぉおおおーっ!」
部活の帰りにサッカー部の皆で立ち寄った馴染みのラーメン屋。
そこで突然店内に響き渡るような大声を出したのは、もちろん石崎くんだった。
「………あー?…どーしたー、石崎?」
だけど石崎くんが大声を出すのはいつもの事なので、ラーメンを食べているチームメイトの反応は一様に薄い。
僕もちょっと顔を上げただけだ。
「これだよ、これ。ちょっと読んでみろよ、ここの若林のインタビュー記事。くそぉ、若林の野郎。どういう事だぁ。」
石崎くんが手に持っていたスポーツ新聞を荒々しく広げてみせる。
…え、若林くん…?
「なに、若林さんの記事が載ってんの?」
「スゲーな、若林さん。」
「どれ。」
真っ先に反応したのは近くに座っていた修哲トリオ。
三人は頭をつきあわせるようにして記事に群がり、すぐに「おおっ」という歓声を上げた。
「さすが若林さん。」
「すげえ。」
「やっぱ俺達とはレベルが違うな。」
いつもなら石崎くんの大袈裟なリアクションをバッサリ切り捨てる三人が、意外にもテンション高めの反応を返す。
それを見て、周りがようやく記事に興味を持ち始めた。
「何だよ、俺にも読ませろ。」
「俺も。」
こうして新聞は次々とみんなの手を渡っていった。
読後の反応は人によって様々。
爆笑したり、怒り出したり、感心したり、無言でニヤニヤと笑ったり。
……なんだろう、普通のインタビュー記事でこんなに反応が違うものかな?
なんだか嫌な予感がするんだけど。

「ほら、岬も読んでみろよ。」
運ばれてきた新聞に、僕は急いで目を走らせた。
そのコラムは、現地のインタビュー記事を要約して掲載していて。
覚悟はしていたけど、これは。
「………」
さっきの皆の反応が、分かる気がする。
「…相変わらず岬は下ネタNGなんだな。」
笑いながら顔を覗き込んでくる井沢に、固まったまま動けなかった僕は曖昧な笑みを返した。
でも、それが精一杯。
記事を読み進めると、インタビューされてる時の若林くんの様子が目に浮かぶようで、クラクラと目眩がする。
信じられない。
特にこれ。
率直にも程がある。

インタビュアー:じゃあ次は君のプライベートについて聞こうか。サッカーをする以外で好きな事は?
若林:セッ○ス。

そして得意気に続く、私生活と性生活の暴露。
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