図書館1(小説)

□合宿の嫉妬深い恋人
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「ここでやっていいのか?」
「うん。いいよ、今なら若林くんもいないし。あ、今脱ぐね。」
「俺が脱がせてやるって。じゃ、遠慮なく。あ、痛かったら、ちゃんと言えよ。」
「うん。」
「…どう?…痛い?」
「…ん…痛くない。大丈夫…。」
「…岬、顔見せて。あ、ほんとに気持ちよさそ。」
「うん。気持ちいい。」
「じゃ、これは?」
「…んっ。へ…いき。でも、もうちょっと、優しくして…」
「あ、やばい。岬のその顔、結構そそる。」
「何言って…!…ぁっ、」
「ぅわ、何、その声やばいって。」
「違っ。だって、急に、やだ…っ、や、そこ、違っ、あっ」
「お前ら何やってんの?」
不意に若林くんの声が響いた。今まで聞いたことのない、氷点下の声。
「…何って、見ての通り。」
「…足ツボマッサージ。」
靴下を脱がされた状態で、僕は答えた。



「で、あいつは何なんだ?」
一向に殺気をなくさない若林くんを見て、男は逃げるように出ていった。
若林くんは荒々しくドアを閉め、鍵を掛けて、恐ろしく不機嫌な様子で僕を振り返る。
「何って、同じチームメイトの…」
「名前なんかどうでもいい。お前、何で足を触らせてるんだ?」
「だから、ただのマッサージだってば。習いたいって言うから」
「そんなのただの言い訳に決まってんだろ!あっさり誘いにのってんじゃねえよ。」
あまりにひどい言い草に息を飲む。
「…何、その言い方?そんなに僕が信じられない?そんなこと僕が、いつ」
「は?何を信じろって?俺が入ってきた時、自分がどんな顔して、どんな声を出してたか、お前わかってるのか?」
両手首を掴まれ、痛い程握り込まれる。
「…っ!」
床に倒された。
「逃げる力もないくせに、自分から相手を欲情させんな。俺以外の男にその顔見せるなって言ったよな?」
両手を頭の上に持ち上げられ、若林くんの左手だけで、押さえ付けられた。右手は乱暴に僕の服を脱がし始める。
「何、やだっ」
「嫌なら、逃げてみろ。無理だろ?俺の片手すら、はずせないくせに。なんかあってからじゃ遅いんだよ。これ以上、俺を本気で怒らせんな、黙れよ!」
「………!」
こんな若林くんを見たのは初めてだった。
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