図書館1(小説)

□プライベートな事情
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「岬。岬さーん。あの、おかえりのチューは?」
「しない。」
しくしくしく。
「じゃ、せめてハグ」
「しない。もう、何にもしない。チューもハグもエッチもしない。」
「ええっ?!」
突然の爆弾発言。
無理、無理、無理。
岬が目の前にいて、我慢できるわけがない。
「なんで?」
「なんでって、じゃあ若林くんは、なんでするの?」
そんなの、決まってる。
「したいから!」
「…僕は、したくない。」
岬は視線を逸らして、可愛くないことを言う。
「なんで?俺はすごくしたい。大好きな岬にいっぱい触りたい。チューもしたいし、エッチして岬を気持ち良くさせてやりたい。」
「…………。」
じっと岬を見つめる。
「岬が好きなんだから、当然だろ?」
岬は無言のままだ。ただ。
「岬、顔赤い。」
思わず呟くと、真っ赤な顔のまま睨まれる。
岬さん、逆効果です。すげー、可愛いんですが。
「じゃ、岬は何でしたくないんだ?」
岬は動揺した。
「だって、若林くんって」
続く言葉は、かろうじて聞き取れるほどの小声だった。
「…エッチの時、意地悪になるんだもん。」
「…………へ?」
「どんなに嫌がっても、笑ってるから、僕の事なんて何とも思ってないんだと思った。僕が来る前はすごい遊んでたって聞いたし。」
俯く岬がいつもより更に小さく見える。
「…………」
…畜生、なんでそんなに可愛いんだー、岬ぃ!
「わ、若林くん!」
思わずぎゅーっと岬を抱き締める。岬が暴れても気にしない。一日ぶりの岬の体、岬の匂い。
なんてこった。そんな理由だったのか。
「遊びなんかじゃない。俺は岬が大好きで、本気で大切に思ってる。あれは意地悪じゃなくて羞恥プレ…いや、愛情表現?…とにかく岬があんまり可愛いから、ついいじめ…いや、構いたくなるだけだ。俺は岬が好きだからやったんだ。でも」
岬を見つめる。
「岬が嫌ならもう絶対しない。」
「…本当?」
「もちろん。」
安心させるように笑って、優しく優しく口付ける。嬉しいことに、岬がちゃんと受けてくれる。
「昨夜は本当にごめんな。もう意地悪しないから、続きしようぜ。…目一杯優しくするから。」
甘いキスと囁きで岬を口説き落とした。



翌日の練習試合で、俺が絶好調だったのは言うまでもない。


END
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