性悪女の夢物語

□性悪女の夢物語9
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《そう言ってくれると思いましたよ、クローム。ですが今のお前の実力では話にはなりません》


『はい』


それは理解している。
私の実力は一般人に毛が生えた程度だろう。


《体術に関しては犬と千種に教わりなさい。幻術に関しては僕が教えましょう》

『はい』


《そうですね。まず蓮の花なんてどうでしょう》


『蓮の花、ですか?』


《ええ。お前の力で蓮の花を生みだしなさい》


眼を閉じ、水に浮かぶ青の蓮の花をイメージし、作りだした。


眼を開けると、風景までも変わっていた。
あの精神世界のように広々とした青空。
膝まである水に青い蓮の花が沢山浮いていた。


『すごい!』


今までの私の幻術の力ではここまでは出来なかった。

『骸様の力、使えたみたいです』


《そのようですね。少し体を借りますよ》


骸様は力を使い、実現化した。
力を一通り試した後、笑いながら言った。


「そういえば、犬がもう少しで来ますよ」


『えっ!どうして』


「クフフ。怪しまれたのでしょう。 安心してください。千種が気付いたようなので大丈夫ですよ」


『骸様、いったい何を?』


「骸さん!」


この幻想の空間に突如声が響いた。



バシャバシャと音をたてながら来たのは犬だった。


「骸……さん……」


骸様の存在に気付いたらしい。


「骸さんっ!」


悲痛な叫び。
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