宝物
□集まれば……
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※梓くんのキャラ崩壊が否めません。
◆◇◆◇◆
「あ」
「あ」
「ふぁ!」
女子生徒がばったり出会った。
烏丸めい、月野彩、穂坂華也の3人だ。
「こんにちは。先輩方」
野郎には決して見せない超笑顔のめい。
あぁ、女の子っていいなぁ。
「こにゃにゃちわわ!めーいちゃんっあーやちゃんっ」
華也は窓の外からくるりと回転しながら校舎内に入り(因みにここは3階)、すたっと着地した。
「わぁ!すごーい!…って本当久し振り!会いたかったよ〜」
ぱちぱちと華也に拍手を贈りながら彩は笑う。
彼女たちは星月学園の数少ない女子生徒。
しかし、学年も違えば学科も違うので、なかなか会う機会はない。
「ふふっ月野ちゃん、今日も可愛いね。今夜は私と一緒にお風呂入らない?」
さらりと変態発言投下。
「私よりめいちゃんのが可愛いよ!俺の嫁!ってことでお風呂おっけー!」
便乗する彩。
「良かった。…月野ちゃんの方が可愛いけどな…」
「いやいやいやめいちゃんのが…!!」
「じゃーあ!間を取ってあずちゃんが一番可愛いってのは?」
「「いいね」」
めいと彩が会話している間に姿を消していた華也は何かを担いで再び現れた。
「華也先輩、降ろして下さい…」
半ば諦めた表情の…ぱっつん。
要するに梓だ。
「…華也ちゃんどうした!?」
流石の彩も驚きだ。
「なはは!そこに落ちてたの!」
「いや、普通に歩いてただけですけど…」
梓の言葉をガン無視し、華也はそこーと言いながら大雑把に廊下一帯を指す。
「なんでも拾って来ちゃだめでしょ。捨ててきなさい」
「うぇえ!ちゃんと面倒見るからぁ!いいでしょ!?おかぁさん!」
「だーめ。そう言って結局面倒見るのはお母さんなんだよ?」
めいと華也のふざけた親子のような会話。
そんなこんなで華也はぶーたれながら梓を降ろした。
「はぁ…なんですか?」
早く部活に行きたいんですけど、と梓。
顔が死んでいる。
彩はこんな顔初めて見たなぁと思いながら半笑い。
「彩先輩?」
にっこりと微笑む梓。
「…あれ、何か般若が見えるんだけど…」
「先輩は今日も可愛いですね!」
にっこり。
「…ウン、アリガト」
彩が恐縮していると、華也が梓に後ろからがばりと抱きついた。
「あずちゃん本当可愛い!女の子みたい!」
「ちょ、華也先輩どこ触ってるんですか!」
「んー胸?」
「何で服の中まで手を入れるんですか!」
「揉んだら大きくなるんじゃないかなっ!」
「なりません!!」
逃げようとする梓だが、華也の怪力に適わない。
「めいちゃんもあずちゃんイケるでしょ!女の子みたいだから!」
華也がめいに話を振る。
「全く…いけないから。ほら、穂坂ちゃん」
「めい…!」
救いの女神でも得たような梓の表情。
しかし、次の言葉で奈落に落とされる。
「去勢したらありだけど、ね?」
めいがどこからか刃の太い鋏を持ち出す。
「翼くんの新作『何でも切り取りくん32号』〜」
「翼ァァァァアアアア!!」
梓の悲痛の叫び。
「あーなんるほろー。よし、あずちゃん脱いじゃって♪」
「華也先輩!?ベルトに手をかけないでくだ…!!めいも止めなって!!」
「大丈夫、痛くないから。………多分」
「!!?? 痛いから!めいには分からないだろうけど痛いんだって!」
華也に羽交い締めにされ、正面では素敵な笑顔のめいが鋏を構えている。
梓必死。
「あ、彩先輩!助けてくだ…」
自力での脱出は不可能と悟った梓は彩に助けを求めた。
………が、
「面白いwwww梓くんww頑張ってwwww」
「せーんぱぁぁぁぁぁああい!?」
あっさりと見捨てられた。
…あとで直獅に助けられた梓だったが、この事件は新聞部に大きく取り上げられ、
『女子最強(凶)説』が大きく出回ったことは言うまでもない……。
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