あい らぶ ゆー

□少女は彼を想う気持ちの正体をまだ知らない。
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彼のことを少しでも知りたくて
ほんの少しでもいいからお話ししたくて……



―――……


「お兄ちゃーん」

「おぉっどうしたんだー優衣」


2年星座科
私のお兄ちゃんとあの人がいる教室…


「えっとあの…そう!クッキー焼いたの!!それでお兄ちゃん食べるかなーって」

「もちろん食べるぞ!!兄ちゃん嬉しいぞ…嬉しすぎて…なっ泣けてきたぁあ!!」

「おっお兄ちゃん!?はいハンカチ」


泣き虫なお兄ちゃんにハンカチを渡しながら、私の目線は彼を探している訳で…


「ぐすっ…いつもいつも悪いなぁ…」

「気にしないでお兄ちゃん!それであの…宮地先輩いる…?」

「ん、宮地?」

「ほっほら、私この前失礼なこと言っちゃったからお詫びにクッキーを…」

「んだと!!宮地にやるくらいなら俺が…!」

「それは駄目!それにお兄ちゃんにもあげたじゃん!!」


「クソ…ひ孫の代まで祟ってやるぞ宮地ぃ!!」

「オイ、さっきからなに人の名前を叫んでるんだ白鳥」

「げ、宮地」

「あの宮地先輩!これ…」


ん…?
ちょっと待てよ
男の人って甘いの苦手な人多いよね…
宮地先輩もなんか甘いの苦手な人っぽいような……


「む。どうかしたか」

「えっと…」


やってしまった…
色々調べれば良かった!


「白鳥、お前の持ってるのは何だ?」

「コレか?これはなー優衣の手作りクッキーだぞーむふふ」


お兄ちゃんむふふってなんですか!?
顔がものすごく緩んでるよ!

「クッキー…甘い物…」

「わっ分けてやらないぞ!これは俺のだ!!」

「少しくらい良いだろう」

「だーめーだーっ!!」


あれ…宮地先輩クッキーに食いついてる…?


「宮地先輩、甘い物好きなんですか…?」

「あぁ。…何か可笑しいか?」

「いっいえ!全然!!」


意外な一面を見てしまった…!
この胸がキュンとなる感じはなんなのでしょうか


「宮地先輩、これこの前のお詫びみたいな物です…。先輩が甘い物好きって聞いて安心しました」

「む、ありがとう。美味しく頂く」


いつも無愛想な宮地先輩が一瞬微笑んだような気がしました

とても優しくて私の全てを持っていってしまうような微笑み……


クッキーを渡す瞬間、ちょっとだけ触れた指先に、私の心拍は急激に増加をし始めました

この気持ちはなんなのでしょうか?


心の中が宮地先輩でいっぱいになるこの気持ち…









少女は彼を想う気持ちの正体をまだ知らない。




(私がこの気持ちの正体に気づくのはまだまだ先のお話し……)



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