ツバサのセカイお礼小説
□蒼き罪、コタエをシル
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─────目の前の全てから逃げたくて、
逃げ出した
ただ温もりに触れたかっただけ
寂しさを癒してくれる“人の心の温もり”に、少し触れるだけで幸せだった
けれど、それが間違っていると言うのなら
もう求めない─────
人通りの少ない真夜中の裏路地を選ぶ足は、無用人で危なっかしい。
何処か遠いトコロへ行きたいとする意識は、鬱陶しいぐらいに脳裏から離れず付き纏う。
月の光に濡れる金髪は、過去から今に繰り返される言葉を揺れて。
暗闇を迷う仔猫のように…。
ヒトの冷たさと怖さを知って…、
そして、解りかけたヒトの温もりと優しさを…、
求めながら逃げ続ける。
「…相手が、誰でもいいなんて、思ってない。ただ…」
誰も聞いていないのならば独り言。
誰かが聞けば、弱音か、愚痴か、小言か、嘘…………。
口付けを交す相手にファイが求めていたものは、快楽ではないはずだった。
けれどそれを言葉にしようと努めてみれば、心地好さに浸っていた自身が居た事も思い出す。
故に、口付けに何を求めたのかが自分でも、解らなくなる。
(でも…優しくされると、嬉しくて……)
手を差し述べてもらったその優しさに、甘えたかっただけの事。
だから黒鋼でもなく、アシュラでもない相手と交そうとしたんだ、と…。
(じゃあやっぱり、優しい相手なら、誰でもいいって?)
と自身に問えば、その通りでした…と頷く心も。
ファイはキッと何かを睨んだ。