ツバサのセカイお礼小説

□蒼き罪、モトめるココロ
2ページ/4ページ





「……っ…」


痺れる身に眉を寄せる者。
浅い眠りからふと目を覚まし、汗の滲む額に手を当てる。


「……熱い」


アシュラの屋敷を訪れて、夜の事情の前半で置き去りにされたファイは、寝室に一人。

掛けられた術により束縛を受け、ここで待つように言われた。

その術のせいで、躯が痺れて息苦しい。

故に、早く戻ってきて下さい…と、心で何度も唱えていた。


「…アシュラ様…」


その時、
黄金の月の輝きは変わり、蒼白から銀紫の闇へ。


「苦しいのか?」


「!?」


驚いたファイは目を見張った。

そこには忽然と現れた細身に長髪の青年の影。
月明かりに照らされると、銀色を放つ髪と瞳。


ファイの横たわるベッドの直ぐ側に立ち、同じく月に照らされた蒼を、冷たく見下ろす。


「…………」


「…………」


かち合う瞳を、ファイはどうして良いのか分からなかった。
とりあえずは視線を逸らし、動きにくい躯を起こそうと両肘を付いて上体を支えた。


「…っ!」


しかし、術の束縛は強力で。
躯を起こせば更なる痛苦。



ユエは黙って眺めている。
ベッドの軋む音と苦しそうな荒い息。
別に何の感情も抱きはしないが、助けてやる事も悪くはないなと。


銀の髪がさらりと揺れた。

ベッドに片膝を付けば、ファイがぱっと振り向いて言う。

貴方は誰?…と。


答える代わりに、ユエはファイの顎を持ち上げて…。




 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ