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□またさらわれた
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「――どうするんデス?」

「ここに置いてくれ。俺はもう行く」


ガタン


扉の閉まる音が聞こえた。多分ザギが出て行ったのだろう。目を閉じていて分からない。

「目を開けたらどーデス?」

「…いつから気づいた?」

「ユーの寝顔が死んだようになってからデスよ」

(死んだような顔、ね)

起きあがってみた時、

「……っ」

「ザギは容赦なくやったみたいデスからしばらく安静にするデース」

あの時を思い起こした。強烈だったが、どうにかすれば動ける。無理やり立ち上がると


プルン


プルン


そう聞こえるくらい胸が揺れた気がして下を向くと、いつも平らだったのに出ていた。しかも服が女物に変わっていた。

「…服どこにやった」

「洗ってマス」

「何で」

「ザギがここに来るとき水を被ったからデスよ」

「……」

はあ、と大きくため息を吐いた。

「ユーはガールですからボーイなのはノーです」

「…断る」

「ここに居るのですから従っていただきマース」

「それじゃ出てく」

「オーダメです」

動こうとしたとき押し倒された。

「…ぐっ」

「ザギが出すなとセイドしてました。それに…」

「…っ、ふ」

「まだ完治してませんしネ」

口角を吊り上げながら腹部を指でぐりぐりと圧してきた。

「…っ」

急いで男から逃れようとした。いつもはどんなやつでも逃れられたのに出来ない。
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