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□またさらわれた
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「…俺もあの人みたいになったな」
無理やりに飲ませた物は乗り込んでくる者をどんな顔にしてしまうのだろうか。
あの子は、人間としての機能が消えつつある。眠っている時、まるで死人が居るような感じがした。
ザギにやられた場所を刺激しても大きな声を出すことはなく、堪えていた。人間らしく見えたのは、薬を飲ませる時の拒否反応だった。
あの時飲ませた薬は、少しでも人間らしさを取り戻せるだろうか。生きる屍から脱するだろうか。
死人であるのは
―死に損ないだけでいい。
「……」
「…目が覚めマシたか?」
「…誰?」
あの子が出そうとしなかった声は意外に透き通っているようだった。
「ミーの名前はイエガーデース。よろしく」
「かんなです。よろしくイエガーさん」
そう言ってふわりと笑ったところが可愛らしく思えた。
「イエガーでいいデスよ。いくつデスか?」
「よろしく、イエガー。14よ」
またふわりと笑った。
どうして消えてしまったのだろう?そんな疑問が浮かんできた。