企画もの
□すなお
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梓視点。
梓「うわ...38度...。」
どうりで体が重いわけだ。
起こしていた上半身を再びベットに預ける。
熱なんて久しぶりだな。
てゆか、両親が今日に限って両方働きに行ってるし...。
暇。
てゆーか、だるい。
姉貴も兄貴も学校だし、バイトだから遅くなるだろう。
食欲も特にわかなかった。
あ、学校に連絡しなきゃか。
ベットのすぐ脇に置いてあるケータイを取り受信ボックスを開く。
1番上には昨日メールしていた、哉多の名前。
返信のボタンを押して、
"熱が出たから休む。先生に言っといて。"
とだけ打って、しばらく画面を見つめるていると"受信1件"の文字。
"わかった"
相変わらず、メールでも無愛想。
もうちょい、体調は大丈夫か、とか聞いてくれても良いんじゃねぇの?
そう思いながら、瞼を閉じる。
そのまま睡魔が襲ってきて、あたしは寝てしまった。
******
不意に目が覚める。
時計をみれば19時。
寝すぎた。
むしろよくこんなに寝れたな、と感心してしまった。
哉多「あ、起きたか。」
....。
いや。
ちょっと待て。
寝すぎて幻覚が見えてる。
落ち着け。
哉多「熱は?」
あぁ...幻覚じゃねぇのか...。
梓「なんでいるの?」
なんか体は朝よりも重い。
熱上がったんじゃ?
哉多「...なんとなく。」
梓「ふーん...まあ、うれしいや。」
なんか今日は幸せかもしれない。
哉多がお見舞いに来てくれたし。
哉多「...熱上がったんじゃね?」
梓「んー...そ、かも。」
頭がボーッとする。
自分でも何言ってるのか半分わからない。
哉多「えらい素直だな...。で?なんか食いたいもんあるのか?」
たべたいもの...かぁ。
梓「かなた、作ってくれるの?」
哉多「まぁ。」
梓「うわ...。」
哉多「うわってなんだ?」
梓「えーと...幸せだなぁ...って?」
哉多「....今日のお前、変。」
あーあ。
なんかすっごいダルイ。
食べたいもの、ていうか、食べたくない。
哉多「...おかゆ、でいいか?」
梓「んー...。」
哉多が今日はちょっと優しい。
なんか変。
...あぁ、変なのはあたしもか。
今日は妙に素直になれる。
数分後、哉多がおかゆを持ってきた。
哉多におかゆって合わないなぁー。
哉多「食えるか?」
梓「ん...食べさせてほしーかも。」
哉多「...!?」
なんか哉多の顔が赤いような。
気のせいかな。
梓「お願い...?」
哉多「...その顔反則。」
そう言って顔をおかゆを持ってない方の手で隠す哉多。
なんか珍しいや。
その後、哉多におかゆを食べさせてもらった。
哉多「熱さがんねーな。」
梓「ん...でも、哉多がいるから、いいかも...。」
なんて言ってみたり。
普段絶対言えないコトも言えるって、熱ってすごいかも。
哉多「ほんと...お前は...。」
軽く哉多が顔を歪める。
そして顔が近づいて、唇に少し冷たい感覚。
哉多「あつ...。」
梓「な、ななな!?」
哉多「早く元気になれよ。」
そう言って哉多は帰っていった。
顔が熱いのは、熱のせい。
素直
(素直な君もいいけれど、)
(やっぱりいつもの君がいい。)