おとしたのーと。
□#02 はじめまして。
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「ただいま〜!」
「お帰りなさい。あら緋露、今日はやけに機嫌が良いわね。何か嬉しい事でもあったの?」
「あっ、わかるわかる?」
家に帰った私は、料理をしている母の手伝いをしながら、今日帰り道で見つけた捨て猫と、飼い主になってくれると言った男子の話をした。
「ゴメンね、お母さんが猫アレルギーなんかじゃなければ飼ってあげられたのに…」
「ううん、良いの。それに、いつでも会いに来て良い、って彼も言ってくれたし」
「それは良かったわね」
うん!と返事をすると、お母さんもにこやかに笑ってくれた。
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―――翌朝。
学校休日である土曜日だったので、私はいそいそと出掛ける準備をしていた。
「あら、今日は早く起きたのね」
いつも早く起きてくれれば助かるのに。
と笑うお母さんに、赤面する。
「うー、だって早くあの猫ちゃんに会いたいんだもん…」
「はいはい、」
クスっと笑う笑顔に、
「じゃあ、行ってきま〜す!」
「行ってらっしゃい」
大きく手を振った。
「ホント…緋露は猫が好きね…
それとも、
昨日会ったっていう男の子に…
一目惚れ、かしら…?」
お母さんがそう言っていたのを、私は知らない――
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