折れた翼は―
□標的13
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「ゔおぉい輝羅、さっきのはどういう事だぁ」
ホテルに帰ると同時。私は幹部達に囲まれて詰問を受けていた。
「そうそう。なんであっちの守護者と知り合いな訳?しかもアイツにファーストネームで呼ばせてるし」
「まさかお前、間者じゃないだろうな」
「レヴィ、流石に輝羅がスパイだって事はあり得ないと思うよ。何方もあの場に相手が居た事に動揺してたじゃないか」
「そうねぇ。私にもあれが演技には見えなかったわ」
味方してくれる人も居たけれど、明らかに快く思わない者の方が多かった。ちらりと見たボスは無表情で、私の話にはあまり関心を持っていない様だった。
「沢田綱吉側の守護者と知り合いじゃ…疑われても仕方ない、よね……」
「あら、私は輝羅ちゃんを信じてるわよ〜」
「ありがと…ルッス……」
無条件で信じてくれる存在は、それだけで有り難い。
「俺だって疑ってる訳じゃないっつの。単に輝羅が下の名前呼ばせる位、アイツと仲良さげなのが気に食わないだけだし」
「あら、ベルちゃん嫉妬?」
「ししっ、んなの自分で考えろよ」
「んまっ」
どうやらベルは、気に食わないながらも私を疑う事はしないらしい。それなりに信用を得る事が出来てた事に、嬉しくなった。
「え、と……皆が知りたいのはあっちの守護者との関係、だよね…?私と彼は、一度出会ったきりで、その後は互いの行方なんて知らなかったんだ」
獄寺さんも私が此方に居る事に驚いていたのだから、きっとそうなのだ。
「出会ったのがイタリアだったから、ファーストネームで呼ぶのは違和感無いと思うんだけどな…。私が呼ばれても良いと思ったのは、彼が命の恩人だったからなんだよ」
『命の恩人…?』
「うん。此処に来る前はずっと牢屋に入れられてた事、皆は知ってるよね?」
方々から首肯が返ってくる。
「まさか…」
話した事のあるルッスだけが、口に手を当てていた。
「私はずっと、生きる気力も無いままに囚われてたの。でも皆と出会う少し前、私は爆発で舞い上がる粉塵の中で意識を戻したんだ。爆発によって壊れた檻から、私はようやく外に出る事が出来たの。その爆発を起こしたのが、彼」
生きながらも死んでいた私に、生を与えてくれたのは、彼。
囚われていた間の記憶は無いけれど、その中で少しだけ感じた温かさに似ているのは、彼。
私を縛り付けていたモノから解放してくれたのは、彼なんだ。
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