折れた翼は―

□標的12
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「此処が…ジャッポーネ……」


飛行機を降り、電車を乗り継いでやって来たのは“並盛町”という街だった。

イタリアと違い、一歩路地を入れば薄暗いスラム街となる様な事は無く、ただただのんびりとした空気の流れる其処は温かな光に包まれていた。


「ゔおい、街を見て回りたいのは分かるが、ホテルに荷物を置いてからにしろぉ」

「あ…うん、分かった」


ボスと幹部以外にも部下がついて来ては居るが、彼らも自分達の荷物を持っている。流石にボスは荷物を他の者に持たせてあるけれど、幹部は自分達で荷物を運んでいた。もちろん、私も然りである。


「ホテルまでどの位掛かんの?王子だりーんだけど」

「確か、此処から歩いて五分位よ。もう少しだから辛抱してベルちゃん」


隣でだらけるベルに、ルッスが声を掛ける。慣れない混雑した電車に溜まった疲労を、彼は隠そうともしていない。


「レヴィ大丈夫かい?凄い量の荷物になってるけど」

「ボスの為ならこれしきのこと…っ」


ふよふよと浮かぶマーモンの荷物は、それほど多くないので私が持っている。反対にボスの役に立ちたいのだといつも言っているレヴィは自分の物以外に、ボスの荷物とボスに快適に過ごして貰う為の準備物を持っているので、非常に重そうである。


「シュコー」

「………」


モスカは相変わらずマスクから漏れる空気音を発するだけだし、ボスは何も話さない。




こうして、私達ヴァリアーはボスを差し置いてボンゴレ十代目になろうとする者を始末しにやって来たのだった。






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