折れた翼は―
□標的11
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スクアーロが帰って来た。
マーモンからそう聞いた輝羅は、一目散に彼の部屋へと向かった。
何の任務かまでは聞いていないが、「日本へ行く」と言っていた彼は数日の間、屋敷を留守にしていた。
「スク〜!」
どんっ
部屋に飛び込んだ輝羅は、扉を開けると直ぐに何かにぶち当たった。
「ゔおっ…輝羅じゃねーか。いきなり何だぁ?」
顔を上げると長い銀髪の間から、数日振りに見る優しい瞳が覗く。
輝羅が「おかえり!」と笑えば、ススクアーロは「おゔ」と彼女の頭を撫でた。
「予定してた任務期間より長かったみたいだから心配してたんだけど…大丈夫だったみたいだね!」
聞いていた帰国日よりも、二日程帰って来るのが遅かったスクアーロ。
だが、彼が言うには任務が長引いた訳では無いらしい。
「予定通り任務地だった日本から帰ろうとしたんだが、CEDEFんトコの餓鬼がコソコソと動いてたんでなぁ゛」
曰く、普段動かない筈の組織が自分達ヴァリアーからも隠れて行動していた理由を吐かせようと、戦闘になったと言う事だった。
「俺は今からボスの所に持って行かなきゃなんねーモンがある。鍛錬なら後で付き合ってやっから、大人しく待ってろぉ」
「やったぁ!ありがとう!!」
元気良く「いつもの所に行ってるね!」と返事をすると、スクアーロの腕の中から駆け出して行った。
「さぁて、ボスさんにコイツを渡しに行かねぇとなぁ゛」
彼の手に乗るのは、シンプルで在りながらも決して貧相ではない装飾の施された小さな箱。
中に入れられているリングを確認して、彼はニィと口角を吊り上げた。
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