letter for you...

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補習課題が沢山あった代わりに休みだった昨日も、やはりと言うかヒットマンな居候達が騒がしくて、休みなんてもんじゃなかった。
一昨日は結局、色んな人の力を借りてようやく問7と言う難問をクリアして。けれどそうして提出したけど、先生は「問7に関しては正否は不問とする」とか言って、頑張ってきた補習を受けた皆から盛大にブーイングを受けていた。


そうして今日、補習は終わったんだ。






purururu…


「あら、電話。ーーはい、沢田です」


晩御飯を食べている最中、固定電話の着信音が鳴り響く。
俺はどうせセールス、若しくは塾とか家庭教師とかの勧誘の電話だろうと思ってそのまま食事を続け、口の中にカレーを掬ったスプーンを突っ込んだーーのだが。


「まあ!薫ちゃん?」

「もごっ!?」


ゴホッゴホッ
聞こえた母さんの相手を呼ぶ名前に、誤って咀嚼し切らずに飲み込んだ人参に、思わずむせ返る。


「ええ、ええ……分かったわ。今、代わるわね。ツっ君、薫ちゃんが貴方に用事があるんですって」

「っ、ーー分かった。ありがと」


涙目になりながら口の中の物を飲み込んで、母さんが差し出して来た受話器を受け取ると、そのまま耳に付けた。


「こんばんは、綱吉です。田嶋さん?」

『ああ沢田、こんばんは。こんな時間に電話して悪かったな。奈々さんに聞いたんだが、食事中だったんだろう?』

「そうだけど、でも大丈夫だよ。電話に出れない様な時間帯でも無いし。それにしても、電話番号教えてなかったのに、良く分かったね?」

『番号は、私の母に聞いたんだ。丁度今日は早めに帰って来たし、電話帳で探すよりは、よっぽど早いだろう?』


そう言われて、そういえば田嶋さんのお母さんは母さんと知り合いだったっけ、と考えながら、そのまま話を続けた。


『私の母が奈々さんと話したいと言っているから、後で代わって貰えるか?』

「うん、良いよ。それで、俺に用事って、何だったの?」


本題に入ろうと彼女に尋ねれば、一拍置いて返ってきた言葉。


『終業式の日、約束しただろう?補習は今日で終わりだとか聞いていたから、明日からは空いているんじゃないかと思って。君はほら、山本や獄寺君と遊ぶ約束を入れるかも知れないから、君のスケジュールが埋まる前に君との約束を果たしたいと思ったんだ』


夏休みの宿題も全て終わらせて置けば後の日は思い切り遊べるぞ?と電話越しに、彼女は笑った。
つまり、彼女はあの時の約束通り、彼女の家で夏休みの宿題と合わせて勉強を教えてくれると言うのだ。


《今度はウチに来ると良い》


その、言葉通りに。









『ーーじゃあ、明日の朝十時に君の家に迎えに行くよ。歩いても二十分掛からないから、自転車だったら十分もあれば着くだろう』

「うん、分かった。でも本当に良いのかな?昼食ご馳走になって…」

『言ったはずだぞ?私の母もお礼がしたいと言っていると。それに、私は既にそちらで二度も食事を戴いている訳だから』


気にしなくて良い、と言う彼女に俺は相手に見えないにも関わらず頷いた。


「そう、だね。じゃあまた明日。電話、母さんに代われば良いんだったよね?」

『ああ、此方も母に代わる。じゃあ明日。おやすみ、沢田』


ピクンと肩が揺れる。
俺が電話で話していた最中に夕食を食べ終えた母さんに受話器を渡し、俺は残りのカレーを食べるべく食卓に戻った。


「………ツナ、顔が赤いぞ」

「真っ赤っかだもんね!」


食後のコーヒーを飲んでいたリボーンとデザートにプリンを食べていたランボに指摘されたけれど、それに構っている余裕は無かった。


(最後の最後で、あれは反則だよ…!)


柔らかな声は、彼女が微笑んでいるであろう事を容易く予想させて。
耳元で紡がれた言葉は、俺の身体の熱を上げた。

冷えたカレーは熱さを感じなくて、今の俺には丁度良かった。






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