letter for you...

□20通目
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「リボーンは……寝た、よな?」


パタン、


確認する様に呟かれた声。
先日薫と一対一で話してから、今日で三日目。彼女の口振りではツナが何か鍵を握っているのだろうと思い、ここ数日はツナを観察していた。
今まで特に何も不審な点は無かったのだが、此処に来てツナが行動を見せた。


(………一体、何があるっていうんだ?)


アイツは分かりやすい性格だから、俺に隠し事なんて出来ないと思って居たんだが…と考えた所で身体を起こす。


「……確かめてやるか」


ニヤリと口元に笑みを浮かべて、俺はベッド代わりのハンモックを降りた。






*+*+*






「わっ…。そういや来週テストあるんだっけ…勉強、しなきゃな…」


独り言を漏らすツナの後ろ、リビングと廊下を繋ぐドアの辺りでそっと様子を伺う。


(ツナの奴、オレが言っても勉強なんてしねー癖に…どんな心境の変化だ?)


ツナは机の上にノートを広げ頭を
抱えながら、時折ペンを走らせる。
どうやら俺に隠れて勉強しているらしい。何故隠しているのか、その理由は予想するにーー


(例の、薫のルーズリーフか…)


ツナが時々ノートの横に置いてある物を持ち上げる事で、視線の低いオレの目にそれが映る。
前回見た物は理科の要点を纏めた物だったが、今ツナが手にしているのは数学らしい。遠目からでも、数字くらいなら判別する事が出来た。






「ーー…おい、ツナ」


ビクリ。
目の前の肩が揺れて、恐る恐る振り返る背中。


「な……、リボーン寝たんじゃ、無かったの…?」


ツナは振り返る前に急いでノートを閉じた様だが、視界に映らない机の上には、まだルーズリーフが広がっているだろう。


「夜中にツナが、こそこそ隠れて何してんのか気になってな。俺に隠れて勉強か?」

「えっと、まあ、そんな所…?」


隠し事がばれたからか、右へ左へと泳ぐ視線。ひょいとツナの隣の椅子に乗れば、やはり薫の字で書かれたルーズリーフが置かれていた。


「………五教科全部のまとめか…。ツナ、これはどうしたんだ?」


誰が書いた物、なんて分かっているが、敢えて聞かない。カマを掛けてツナからボロがでれば、オレの勝ちだ。


「こ、これは、その………」


必死に言い訳しようと焦るツナ。
やがて思い付いたとでも言うように、口を開いた。


「これ、田嶋さんに貰ったんだ!この前ウチに来て勉強教えて貰った時、スゴく分かりやすかったから…。テストも近いし、勉強のポイントを書いて貰ったんだ!」

「……そうか」


薫との関係は隠してたんじゃねーのか、と満足そうに答えるツナにオレは疑問を持つ。


(田嶋さんなら頭も良いし、勉強教えて貰った事もあるから違和感無い、よな?リボーンも納得してくれたみたいだし、上手い言い訳思い付いて良かった…!)


ツナの目を見て本心を探れば、そんな言葉が読み取れた。
この字は確かに薫の物であるはずなのに、ツナはそう思っていないらしい。


(どういう事だ…?)


益々訳が分からなくなった。
ルーズリーフとノートを片付けて寝る準備を始めたツナにこれ以上聞く事は出来ず、結局もやもやとした物を胸中に抱えたまま、オレも寝る事になった。






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