letter for you...

□16通目
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「ーーさて山本、今日は何するか、私が考えても良いのよね?」

「おう!」


土曜日。
私の山本の二人は駅前に集合していた。

互いに見慣れぬ私服姿。
でも別に異性として認識している訳でもないので、そんな所には触れない。
今、問題があるとすれば、それは今日の予定の事だった。


「大体、最初から何をするかって目的がある訳でも無く、ただ“遊ぶ”って言われると困るのよね。貴方はいつも、休日は何してるの?」

「休みの日か?俺は大体、部活かバッティングセンターだな。後は家でゲームしてたりダチん家行ったり」

「………聞いた私が馬鹿だったわ」


彼の大半は、野球で出来ている様だ。
今日は彼に、野球では無い物にも興味を持たせるのが目的。けれどこれでは、野球以外のどんな物に彼が興味を持つか分からない。


「そうね…、ありきたりだけど、映画にでも行きましょうか。それから昼食は喫茶店で軽くで良いわね。その後は本屋。まあ、それだけだと貴方はつまらないかも知れないから、ゲームセンター行って終わり。こんな所でどう?」


野球の練習のし過ぎで怪我して自殺を図ろうとする彼に、野球以外の物、といって他のスポーツを勧める気は毛頭無い。


「んー。まあ良いんじゃねーか?俺が行かない様な所ばっかだけど、その方が良いんだろ?」

「そうよ。普段行ってる場所に行っても、新しい事を始める事は出来ないから」

「んじゃ決定だな!」



早速二人で映画館へと向かう。
その間の会話は、主に山本が話をして私が相槌を打つ。



「ーーんで部活終わるとさ、1年はトンボ掛けなきゃなんねーの。早く2年になって先輩になりてーのなー」

「ふーん」

「そっちの部活はどうなんだ?やっぱ先輩が偉れーのか?」

「まあ、少しは上下関係あるでしょうね。それでも先輩達はあまり気にしてない様だけど」

「そーなのなー」





しばらくそうして話していれば、私達は目的地に着いた。


「ーーんで、何の映画観るんだ?」

「そうね…」


公開中の映画一覧を見て、一つのタイトルに絞る。


「じゃあコレで」

「ん、これなら俺も楽しめそうなのな!」


その後は二人、それぞれ飲み物とポップコーンを買って上映室に入った。






ーーポップコーンは、食べたいのでは無くて雰囲気だ。





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