letter for you...

□5通目
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ーー結局俺は、帰宅するまで封筒の中身を見る事は叶わなかった。

5時間目にあった理科のテストも散々だったし、きっと明日もリボーンにねっちょり勉強させられるんだろう。


夕食を終え、リボーンの監視の下、今日の分の勉強を終わらせた俺は、リボーンが風呂に入っている間を見計らって封筒を開けた。

中に入っていたのは、普段使っている物よりかは幾分小さいノートと、前回と若干のデザイン違いの便箋。
そして、何やらマーカーで要点の所だろう箇所をライン引きされた3枚程のルーズリーフだった。

始めに疑問に思ったルーズリーフを見てみると、どうやら今日の小テスト範囲を分かりやすく纏めた物であるらしかった。
ーーもしコレをテスト前に見る事が出来ていたなら、少し位は点が取れていたんじゃないだろうか。
その位、それは俺にも分かりやすく、どうしてコレがこうなるのか、といった所まで懇切丁寧に書かれていた。

次に見たのは、ノートだ。
あまり見慣れない大きさのノート。それの表紙をめくったが、中には何も書かれていない。パラパラと全ての紙をめくっていっても、其処には線の一つも引かれていなかった。


(……?どうして何も書かれていないノートが入ってるんだ?間違って入れた…なんて事は流石に無いだろうし…)


封筒も、ノートの大きさに合わせて選んだのだろう。
ノートを入れる必要が無いなら、態々こんな大きい封筒にする理由も無いのだから。


がちゃ。


背を向けていたドアが開く音がして、慌てて机に広がっている物を隠す。


「おいツナ、オメーも風呂入って来い」

「あ、う、うん」

「……オメー、俺に何か隠し事でもあんのか?」


チャキッ、とここ数日で嫌でも聴き慣れた音がして、瞬時に両手を挙げる。
ーーこんな条件反射なんて、慣れたくも無いのだけれど。


「ななな、何もない!ないから!」


だから銃を下ろせって!と言うと、多少は訝しむ様な目を向けられたが、話す気が無いなら仕方ねー、と銃を元のレオンの形に戻して俺のベッドに横になった。
……この部屋の主は俺なはずなのに、どうしてリボーンがベッドで俺が布団なんだろう。


とりあえず着替えの用意をして、パジャマの間に隠していた便箋だけを挟むと、俺は足早に部屋を出た。





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