七日間のキセキ。〜終章〜

□この世界の君。
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―――2ヶ月弱が経ち、万全とは言えないが俺の身体もそれなりに回復して、学校に復帰する事になった。











それからしばらく経った、ある日。




「羚、今日遊びに来ない?羚の好きな漫画の新刊出たよ」

「お〜、読む読む!たしか今日は予定無いはずだし行くよ」



そんな感じで親友である若菜の家にやって来た。





















「じゃ、読みますか!」


目の前にドーンと山積みにされたのは、俺が好きな少年漫画の類い。

もちろん若菜も女子だが、少女漫画と同様に、もしくはそれ以上に少年漫画を読む。

そして言って置かなければならないのが、
彼女は金持ちのご令嬢だという事。


「今日も多いな…、」

「まぁ、そこらの本屋より種類は多いと思うけど、」


明らかに可笑しい。

でも、許されるのは既に漫画を開いている彼女の、性格故か。


口調と同様、良家出身のくせに物怖じしないサバサバとした性格の彼女は、中学入学以来意気投合して、今では1番の親友と呼ぶべき存在だ。


彼女はよく漫画を夜中から朝まで読んで寝不足になり、授業中は寝ている事が多い。

それに対して俺は、必死に授業を聞いている。

しかし、テストの成績は彼女に勝てた例しが無い。

いつも俺が若菜にノートを見せて、若菜が俺に勉強を教える。

矛盾している様にも感じるが、俺達2人はこの矛盾で成り立ってるんだ。



「にしてもさー、羚が入院してた間、ノート取るために夜中とか朝とか、漫画読めなかったんだよねー」

「だから今日は一段と多いのか…!」


彼女が読む漫画や小説は、何シリーズあるのか俺は知らない。

前に彼女に聞いた所、彼女もはっきりと把握していないらしいが、数十では利かないと言っていた。

要するに、新刊と言ってもかなりの量がある訳で。

コレでも一部なのだと言う彼女の言葉を疑ってしまうのは、2、30冊程の真新しい漫画や本が並べられているからだった。



――その中の、ほんの一部を俺は読ませて貰っている。



「じゃ、俺はいつも通りこれを読むよ、」


手にしたのは、若菜に勧められて読み始めたシリーズの最新刊。

彼女は多くの漫画・本を読んでいる為、また俺の趣味もよく理解しているが故、彼女の勧めは外れた事が無かった。







――でも、今回いつもと違った事が1つ。






「今日、

若菜が読んでるのは何の漫画なんだ?」






















知らずに引いてしまったのは、








引き金だった。










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