七日間のキセキ。

□近付く時間-トキ-
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「なぁ、コレなんてどうだ?」


「あ、コレも良いな!」



ショッピングモールに連れて来た羚ちゃんは、楽しそうにしてくれている。

――そこまでは、良かったんだ。


ただ、



「これとかツナに似合いそうだよな!」


「いや、コッチの方がツナらしいか?」



何故、"俺の買い物"になってるんだ!?



「……どうしたんだ、ツナ。もしかして気に入らなかった?」


手に数着の"紳士服"を掛け、首を傾ぐ。

――あぁっ、なんか可愛いぞ!?

悶えそうになる身体を押さえつけ、彼女の質問に答える。


「、凄くカッコイイんだけど、さ……俺には似合わないと思『心配するな!絶対ツナに似合うから!』


だから試着してみろ!と半ば強制的にフッティングルームに押し込められ、カーテンを閉められた。


「――…え、コレ全部?」


上から下までのコーディネート。

「気に入ったら、全部買うからな!」の声に、何の言葉も出ない。

まぁ、

「……カッコイイと思うことは思うんだけどね、」

未だ羚ちゃんの物を何一つ買っていないのが疑問なだけで。

だから、って訳じゃないけど。

















「ありがとうございました〜」


…結局、羚ちゃんが選んだコーデを全て買ってしまった。


「俺が選んだんだから、俺が払うって言ったのにな〜」

「――今回は俺が誘ったんだし。それに女の子の羚ちゃんに払わせる訳にいかないだろ」


変な機嫌の損ね方をする羚ちゃんに苦笑しか出て来ない。


「むぅ。じゃあ、小物くらいは俺に買わせろよ?」

「……分かった」


あくまでも俺に何かを買ってくれようとする羚ちゃんに、仕方なく頷く。


「よし、そうと決まれば次は雑貨屋だな!」


嬉々とした彼女は今にも走り出しそうで。

俺は、先を急ぐその背を追いかけた。




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