七日間のキセキ。
□膨らむ想い
1ページ/3ページ
柔らかな光が、
閉めていたカーテンの隙間から差し込む。
「ん、」
覚醒し始めた頭をゆるりと振って、
外と中を遮る透明を開けた。
すると、
窓から入り込む爽やかな風。
少しひんやりとした空気は、
はっきりしていなかった意識を呼び起こす。
「……良い、天気…」
絶好の、
お出掛け日和。
「――10時30分…だっけ、」
壁掛け時計の針は、約束の時間の2時間前を示している。
昨夕、ツナからお出掛けのお誘いを受けた。
行き先は、隣町のショッピングモール。
待ち合わせ場所は、並盛駅前広場。
3駅ほど電車に乗って行くのだが、大抵の並中生は並盛商店街で買い物を済ませてしまうらしく、並中の人はあまり見掛けないとの事。
暗に――
女子である俺に、らしく振る舞って良いという心遣いなのだろう。
(そんな事されるから、もっとこの想いが大きくなってしまうんだよ)
そう考えているなんて、きっとツナは知らないんだろうな。
だってツナは、俺の事を男だと思ってた。
男みたいな俺は、告白された経験は"女子から"しかない。
「カッコイイ」
なんて言われた事は有れど、
「可愛い」
と言われた事は無い。
異性として意識されないのは、まぁ、仕方ないとも思う。
こんなにも俺は、"男っぽい"から。
―――でも、
好きな人には、
ツナには、
『"女の子"だ』
って、思われたいんだ。
.