七日間のキセキ。

□いつも一緒に居た
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―――それは、
空が白み始めた時の事だった。

















ゥウ――――ゥ

ピーポーピーポーピーポー





鳴り響くサイレン。


ドタドタと駆け回る足音。




忙しく鳴り続けるそれらに目を覚ませば、ツナも丁度目覚めた所なようだった。


「―――…火、事?」

「………みたいだね、」


目配せしてベッドから降り、部屋から出る。


と、そこへ1人の男性看護師がやって来た。


「、あ、羚さんに沢田さん!
すみません。起こしてしまいましたでしょうか?」

「まぁ……緊急事態のようなので仕方ありませんよ」

「お心遣い、ありがとうございます。ところで沢田さん、」


俺に向けられていた視線が、ツナへと移る。


「、はい」

「申し訳ないのですが、今、急患が8人程入って来ましてベッドが足りないのです」



空いてた病室は、個室が2つと大部屋が1つ。

6人収容出来る大部屋は、既に半分は埋まっていると聞いていた。


―――つまり。

空いているベッドは5つで、
患者は8人。

空いている簡易ベッドを合わせると、
ベッドは7つ。

要するに、ベッドが1つ足りないと言う訳だった。



「――解りました。なら、俺が使ってたのを使って下さい」

「、すみません」


俺達が出てきた所を入り、中にあった簡易ベッドを半分に折り畳む彼。

あっという間に作業を終え、彼は礼を言いながらも足早に、ベッドに付いたタイヤの音を響かせて去って行った。










「―――ツナ、どうするの?」

「……学校の用意しないといけないし、一旦家に帰るよ」


ほとんど同じ高さの視線が、真っ直ぐに俺を貫く。


「、わかった」

「―――…学校終わったら、また此処に寄るから」


少し困った顔して笑うツナ。

――俺、そんなに顔に出してたかな?


「ん。じゃあ、バイバイ」

「うん。また夕方来るから」


手を振って、別れた。






(そういえば。
ツナとは一緒に暮らしてたから
「バイバイ」は初めて、かも)


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