七日間のキセキ。
□思うのは、君の事。
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「獄寺〜!葉月〜!」
「あ、山本の声じゃないか?」
「みてーだな」
大きく手を振り、歩み寄って来る山本。
羚を連れて直ぐさま退散した獄寺とは違い、戦闘で負ったのであろう傷痕が見ていて痛々しい。
「ったく野球バカが。ちゃんと周りを確認したのか?其処らにまだ敵が居たらどうすんだよ」
大声で呼んでいた事を怒る獄寺。
キツイ口調だが、彼もまた山本を心配していたようだ。
「大丈夫だって。何てったって、さっき雲雀が助けてくれたからな」
ハハハ、と屈託なく笑う山本に、獄寺は驚愕の色を見せる。
「なっ!雲雀が来てんのか!?」
「そうそう。『葉月は見ていて飽きない』ってアイツ言ってたぜ」
「え、俺…?」
「何でも『楽しみを無くされるのはイライラする』とかで、どうやら葉月を時々観察してたみたいなのな!」
無邪気な笑みに、渇いた笑みしか返せない羚。
(俺のプライバシーは何処へ…?)
そんな思いは僅かな溜め息と共に、宙へと散った――。
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