七日間のキセキ。

□罠
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「―――で、相手はそこにツナ1人で来いって言った訳か」


"交渉"


とは名ばかりで、人質の命が惜しかったらボンゴレ十代目を差し出せと言う一方的な要求。

そんな傲慢への答えとして与えられた時間は、半日。



《「明日、午前十時だ」》


《「人質を助けたければ――沢田綱吉、」》





《「テメー、1人で此処まで来いよ?」》





返事を待たずに切られた電話


生暖かい風が、ザワリと俺の頬を撫でたのは、感覚。


多分、本能で感じ取った。


(――…殺られる……けど、)


でも、俺の中に羚君を見捨てるなんて選択肢は無くて。




「俺、









1人で助けに行くよ」



今すぐにでも、と付け加えた。



「十代目!?」
「ツナ!何言ってんだ!?」

獄寺君も山本も分かってる、きっと。

コレが罠だって事。


「――ツナ、正気か?」

感情を滅多に出さないリボーンでさえも、しかめっ面。


「うん。羚君を、助けなきゃ」

きっと、弱さを見せない様に必死に耐えてる。

彼は、いつも笑顔の下に隠してる。



―――不安。

―――恐怖。

―――――――寂しさ、を。



1人になった途端に素直になる彼は、

いつも泣いてる。



当たり前なんだ、それが。


知らない土地に来て、

知らない人に囲まれて。


不安にならないはずが無い。
恐怖を感じないはずが無い。

寂しくならない――はずが無いんだ。





「今、羚君は独りだ」


俺達も居ない。

敵しか居ない中、独りで。



「彼には関係ないのに、」

巻き込んだ。

「彼は何も知らないのに、」

巻き込まれた。


「羚君は、」

《「―――ツ、ナ…」》

「助けを、待ってる」


呼び掛けられる声しかしなかったけど。

何を言いたいか、感じ取った。

『痛い』
『怖い』
『苦しい』



「―――羚は、ツナに身代わりになってくれなんて頼んだか?」

「……言って、ないよ」

頭を振る。


「なら――――」




リボーンは、ニヤリと笑った。




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