七日間のキセキ。
□至近距離
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「ッ!?な、なんで!??」
山本から距離を取って、教室の一番後ろまで後退る。
「どうしたの?」と言うツナや獄寺の声が耳に入るが、今はそれどころでは、ない。
「やっぱそうなのな〜」
笑う山本に「だから何なんだ」と詰め寄る獄寺だが、山本が教えるはずも無く、だんだんと獄寺だけが1人、ヒートアップしていく。
見兼ねたツナが2人の間に割って入る。
ある意味この3人は、ちょうど良くバランスが取れているんだなぁと思いつつ、冷静さを取り戻した俺も2人を止めるべく彼らの下へ向かった。
――昼食の時間も無くなるし。
*+*+*+*+*
「そういえばお前、十代目の顔が近かった時は驚いて飛び上がる程だったのに、野球バカの時は結構冷静じゃなかったか?」
ゴホッゴホッ―――ゴクッ
昼食中、獄寺のセリフに食べ物を詰まらせた。
「ハァ―――、い、いきなり何言い出すんだよ」
ボッと顔から火が出た気がした。
好きな人(ツナ)とそうじゃない人(山本)に対する反応の違いを本人達の目の前で言われるなんて…!
「羚君、大丈夫?顔赤いけど、風邪でも引いた?」
ツナが俺の額に手を伸ばそうとしたもんだから、慌てて立ち上がってしまった。
―――膝の上に乗せていた弁当の中身が既に空だったのは幸いだった。
「もしかして、なんだけど、」
ツナが目尻を下げた。
「朝からさ、羚君……
俺の事、避けてる?」
「………」
俺の中に、答えはあっても言葉に出来ない。
それがもどかしくて、でもどうにも出来なくて、さ迷わせた後の視線は下に落ち着く。
「っ、テメー、本当に十代目の事避けてんのかよ!?」
沈黙を肯定と受け取ったのか、獄寺は殴り掛かろうとしてきた。が、
「ま、待ってよ獄寺君!!」
「獄寺やめろって!」
2人が止めに入ってくれた。
納得しない獄寺は、きっと俺が何か言わないと止まらない。
だから、
質問の答えとなるのかどうかは、分からないけど、
「避けてる、訳じゃない。」
これだけは言えるから。
「まだ……まだなんだ。」
ちゃんとした答えが言えるのは。
「言えるようになったら――」
答え、聞いてくれますか?
君はゆっくりと、首を縦に振った。
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