霞の過去編
□標的11_バレンタイン
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――2−A――
「死ぬ気で京子のチョコの行方を追う!!」
ダダダダダ―――
「ツナ、積極的ね」
「あいつ、時々純愛の女神降臨するのよ」
今日はバレンタイン。
日本では、女の子達が好きな男子にチョコをあげるのが慣例となっている日だ。
男子達は皆、いつ、誰かから貰えるかとも知れないチョコを期待してソワソワしている。
先ほど教室を出て行ったツナも、その内の1人である。
そして、女子達はというと――
「「「山本く〜ん!私のチョコ貰って〜!!」」」
「ちょっと、私が先よ!」
「何言ってるの!?私が先に決まってるじゃない!!」
「ははっ、皆サンキューな」
クラス――否、校内でもトップの人気を誇る山本と、
「「「獄寺く〜ん!!チョコ貰って〜!!」」」
「いらねーつってっだろ!!」
同じく人気を博する獄寺の、美形2人に群がって居た。
―――そこに、
「ツナ、居る〜?
――……あ、獄寺に山本、ツナは?」
教室に入って来たアイカが2人に近づくと、獄寺と山本の周りにあった群れが分かれ、1人と2人を繋ぐ一本道が出来た。
「何の用だ、霞。十代目なら先ほど、笹川の後を追って帰ったぜ?」
「『京子のチョコの行方を追う!』とか言ってな(笑」
「そう…」
少し残念そうにうつむくアイカに、山本は疑問符を浮かべる。
「ツナに用事でもあったのか?」
「まぁね…。
――…チョコ、渡そうと思ったんだけど…」
ザワザワザワ――
「えっ、あのダメツナにチョコ?」
「初じゃない?」
「確かに雲霓さんは変わった人だと思ってたけど…」
その中で1人、プルプルと震えている者があった。
「雲霓、お前――
十代目の良さが、ようやく分かったのか!!」
感激で震える、獄寺だ。
「なぁアイカ、ツナの事、好きなのか?」
「ハァ?
何で勘違いしてんのか分かんないけど…
これ、義理チョコだから」
「なっ!?」
(あ、獄寺固まったのな)
アイカの言葉にショックを受けて固まった獄寺を見た山本は、心の中で(やっぱりなー)と苦笑していた。
「貴方達にもあるからあげるね。
――ハイ、獄寺の分。これが山本の分」
「おっ、サンキューなのな!」
「………あ、…あぁ……」
ショックから立ち直れなくて、そのままアイカから渡されたチョコを受け取った獄寺。
そんな彼を見て、獄寺が本命だった女子達は地団駄を踏んだ。
「キィ――!なんなのあの女!」
「獄寺君、私達の本命は受け取ってくれなくて、あの女の義理は貰うって…!」
「でも、雲霓さんの本命はあるのかしら…?」
「あるんだとしたら、一体誰に…!?」
――途中、違う会話も入っていたが、そんな女子の話をアイカは一切無視して、
「じゃ、私はもう行くね」
とだけ言って、教室を出て行った…。
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