折れた翼は―

□標的6
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『むぅ…本当にベルは何処行ったんだろ…』

「さぁね?まぁ、彼の事だからすぐに見つかるような所にいるとは考え難いけど」


ふわふわと輝羅の後ろを付いて回っていたマーモンは、今は輝羅の小さな腕の中に収まっている。


『すぐに見つからない場所……あっ、分かったかも』


少々考えあぐねていた彼女だったが、心当たりがあったのか大きな瞳を一層大きく見開いた。

そして、一旦止めていた足を動かし、始めはゆっくりだった速度を段々早く、歩きから小走りへ。そして駆け足で長い廊下を進み出した。


「分かったかも…って、何処だって言うんだい?」

『大丈夫!多分合ってるはずだから!』


答えになっていない答えを返して、輝羅はヴァリアー邸の奥へ奥へと進んで行く。


(…はぁ、間違ってるけどね)


小さな体にまとったフードマントの中に、柔らかい紙を持ってマーモンは思った。





















「……で、輝羅が言ってたのって…」

『そう!此処だよ!!』


2人の目の前にそびえ立つのは、この屋敷の中で一際立派な建て付けの扉だ。


『此処なら、すぐ見付からなくてもおかしくないからね!』


自信満々、といったように腰に手を当てて胸を張る彼女の横を、ふよふよと小さな影が漂う。


「確かにそうかも知れないけど、でも此処は、」

コンコン『失礼します!』


マーモンの声を遮り、ノックから間髪入れずに中に声を掛ける輝羅。


「え、ちょっと待っ《バタン》……」


重さの割にスムーズに開いた扉は、マーモンの入室を待たずして、その空間を閉じた。


「……確かこの扉って、一般隊員は両手じゃないと開けれないくらい、重かったよね……?」


つくづく、幹部やそれに近しい者は普通じゃないな。と自分の事は棚に上げて思ったマーモンだった。





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