折れた翼は―
□標的4
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†
輝羅がヴァリアーに入隊した翌日。
「この服とか可愛いんじゃなぁ〜い?」
ヴァリアー幹部全員と輝羅は、街へショッピングに来ていた…。
「つーかさー、輝羅の服を見るんじゃなかったっけ?」
「確実にルッスの服だよな…アレは」
レヴィの言う『アレ』とは、ルッスーリアが手にしているド派手なショッキングピンクの服の事である。
「――輝羅、どんな服が良いとかあったら気楽に言えば良いんだぜ?」
「そうだよ。今回はヴァリアー名義のお金で払うんだ。…まぁ、君の分だけだから僕に利益は無いんだけどね」
活動が少ないヴァリアーには、今現在使ってなくて余ってる金銭が多くあった。
今回の輝羅の買い物は、スクアーロの計らいでそれらを使い、支払う事になっている。
『じゃあ…緑色の……が良い…です…』
「やっぱり、ルッスが選ぶのとは反対だな、しししっ。――…あ、そうだ。敬語やめろよ。『さん』付けとかもナシだからな」
『え、でも…――』
チラリと周りの顔色を伺う輝羅。
それを見た幹部達は口を開いた。
「別に僕は構わないよ」
「俺もそれで良い」
「俺もだぁ゙。というか、その前に―――
何で俺が荷物持ちなんだぁ゙あ゙あ!!」
スクアーロの腕には、大量の紙袋がぶら下がっていた。
「「「まぁ、頑張れ」」」
息ピッタリに発された言葉に、青筋をたてるスクアーロ。
それを見た今回の買い物の主役である輝羅は、申し訳なさそうに呟く。
『…じゃあ……私が…持ちます……』
やはり敬語の抜けていない言葉で。
「………いや、良い。オメーが持ったらオメーのが選べねぇだろぉ゙?」
スクアーロは自分が荷物持ちで良いという決断をした。
するしか、なかった――。
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