七日間のキセキ。
□君の秘密
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《獄寺side》
「ご、くでら…やまも、と…――っ!」
俺達の呼び掛けに応える羚の声は、途切れつつも弱くはない。
その事にホッとしたのもつかの間。
再び聞こえてきた鈍い音と羚の息を飲む声に、顔を歪ませる。
更に奥へと進んだ所に、倒れ込むヤツが居た。
その背には靴底が乗せられている。
「葉月っっ!!」
「うっ…獄寺…」
少し広がった空間。
20人程の男達に囲まれ、壁に取り付けられた電球の光に照らし出される羚は、切れた口の端から血を流していた。
「ほぅ…、ボンゴレは折角の交渉を蹴ったか」
嘲笑う1人の男は、空間の中でも少し奥まった場所に位置する椅子から立ち上がり、此方へと向かって来る。
「君達はこの子を助けに来た――…といった所かな?」
そいつは葉月の前髪を掴んで立ち上がらせると、投げるように俺達の方へ放った。
「おっと――…大丈夫か、葉月?」
前に踏み出た山本が受け止めたのを横目で確認し、前方に向き直る、と。
「よそ見とは感心しねーな」
「なっ」
至近距離。
距離にして、実に1メートル弱。
腕一本伸ばせば届く所まで、男の接近を許してしまっていた。
ガンッ
「っ、」
「獄寺!?」
「フハハハハッ!」
蹴り上げられた鳩尾。
むせ返り、息をするのも難しい。
「――…獄寺、葉月を連れて先に行け。俺はコイツを倒してから行く」
何時に無く鋭い言葉と共に、山本から葉月を預かる。
――正直、今の状態では山本の足手まといになるのが落ちだろう。
そう考えた俺は、何も言わずに羚の手を引いて元来た道へと走り出した。
「そうはさせるかよっ!!」
パァン
耳をつんざいた音と、隣にあった身体が揺らいだのはほぼ同時だった。
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