七日間のキセキ。
□電話
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「―――……っ――こ、こは……?」
鈍い痛みが頭に走り、自分の状況を知る。
手は後ろに回され、座らせられた椅子に縛り付けられている。
足も椅子の脚にしっかりと縄で固定されていた。
手足の自由を取り戻そうと必死にもがくが、ゴトゴトと音を立てて椅子が揺れるだけで縄は緩まない。
「お、お姫サマのお目覚めか」
ガハハハハ
周囲から聞こえてきた下品な笑い声に、思わず顔をしかめる。
「フハハッ――さぁて、何でお前は捕まっているか、言わなくても分かるよなァ?」
「―――ツナなら、呼ばないからな」
目の前の男を睨み付けて言うと、途端に彼の眉間にシワが寄った。
「お前に拒否権があると思ってんのか?」
「"お前"じゃない。"羚"だ」
「ほぅ。威勢の良いお嬢ちゃんは結構好きだが、今この場ではいけ好かねぇなァ」
またも、笑い声が響く。
「羚ちゃん、これは遊びじゃねェ。痛い目に遭いたくなかったら、さっさと沢田綱吉をケータイで呼び出せ」
ホラ、と差し出されたのは俺の携帯電話。
「――手足を縛られてる状態で、どうやって使えって言うんだよ」
「おぉ、こりゃ失礼。じゃあチョイと電話帳見させてもらうぜ」
嫌に静かになった薄暗い空間に、浮かび上がる携帯の画面の光と響く電子音。
プルルルル―――
目の前の差し出された画面には、
"沢田家"
の文字があった―――
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