七日間のキセキ。

□秘密
1ページ/4ページ






「――何を言っても、笑わないでくれるか?」


羚君はそう言って、俺の目を見返した。

一体、何を言うつもりなのだろう。

とは思ったけど、彼の瞳には戸惑いこそ浮かぶものの、冗談を吐く様には見えなかった。

だから俺は迷わず頷き、リボーンも「当たり前だ」と答えた。


でも。


「――俺、異世界から来たんだ」


その言葉を理解する事は難しくて。

俺は目を見開いたまま、固まってしまった。



「……やっぱり、信じてくれないよな」


羚君の声で我に返り、彼の目を見ると、今にも涙が溢れ出しそうだった。

それでも彼は、話を切る事は無かった。

「俺は、車に轢かれたんだ。その後、気付いたら見知らぬ商店街に居た。
――そこが、奈々さんと出会った場所、並盛商店街だったんだ」

――――知らなかった。

何で「家が無い」のか。
何で「寂しそう」なのか。

それは、


『この世界には』帰る場所が無くて、

『この世界には』家族も友達も居ないから。



親が死んだ訳でも無い。

友達が居なかったワケでも無い。


なのに、

周りは誰も知らない人だけで。



――そんなの、俺だったら堪え切れない。



でも、彼はその中でも生きようとしている。


苦しくて、涙が溢れてきても。




ほら。





今も―――――――








.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ