七日間のキセキ。
□家族
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―――転校初日という物は、
あっという間だ。
昼休みが終わって、予鈴で教室へと戻る。
その時初めて、不良とスポーツマンの2人も2-Aだと知った。
そして時は変わって放課後。
俺はツナと一緒に帰ろうと、声を掛けた。
すぐ側に不良男子が居て、睨み付けてきたが、気にしない。
――この人の笑顔が優しいのを、知っているから。
「えっと…、
君もツナと一緒に帰るのか?」
思い切って、声を掛ける。
人間、苦手な事にも立ち向かって行かなければならない時があるのだ。
それが、今。
彼が寄せ付けない様な態度を取っていても。
一歩を踏み出さなければ、前には進めない。
「――当たり前だ。俺は10代目をお守りするという義務があるからな」
「…そうか」
10代目とか義務、というのは良く解らないが、彼がツナを大切に思っているのは伝わってきた。
「俺も居るのな〜」
後ろから、肩にポンと手が置かれて振り返って見ると、スポーツ少年がそこに居た。
「―――いつも、この3人で帰っているのか?」
「そうだよ」
ツナが楽しそうに答える。
「…じゃあ、今日は俺も交ぜてもらって良いか…?」
途端に不良男子の顔が険〈けわ〉しくなって、
「そんなの駄目に決まっt『良いよ』―10代目!?」
言われた言葉に視線を落としそうになったら、ツナが言葉を遮った。
「まだ2人に言って無かったけど、羚君、今は俺の家に居るんだ」
――『泊まってる』とも『居候』とも言わなくて、ただ『居る』という事。
それは俺の心に、少しの温もりを与えた。
「あれ、何でまた泣いてるの…?」
ツナが俺を見た。
どうやら今度は、嬉し泣きをしたらしい。
それを伝えたら疑問符を浮かべられた。
「――だって、俺、ただの居候なのに…」
ツナは更に疑問符を増やし、
「…羚君はもう、俺の家族だよ?」
何を今更、みたいに言われた。
―――家族。
この世界に来て、無くしたと思ってた物。
父さん、母さん。
俺、この世界に居る間は、
この人達の『家族』やってて良いかなぁ?
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