七日間のキセキ。

□家族
1ページ/3ページ




―――転校初日という物は、
あっという間だ。





昼休みが終わって、予鈴で教室へと戻る。

その時初めて、不良とスポーツマンの2人も2-Aだと知った。




そして時は変わって放課後。

俺はツナと一緒に帰ろうと、声を掛けた。

すぐ側に不良男子が居て、睨み付けてきたが、気にしない。

――この人の笑顔が優しいのを、知っているから。

「えっと…、
君もツナと一緒に帰るのか?」

思い切って、声を掛ける。

人間、苦手な事にも立ち向かって行かなければならない時があるのだ。

それが、今。

彼が寄せ付けない様な態度を取っていても。

一歩を踏み出さなければ、前には進めない。

「――当たり前だ。俺は10代目をお守りするという義務があるからな」

「…そうか」

10代目とか義務、というのは良く解らないが、彼がツナを大切に思っているのは伝わってきた。

「俺も居るのな〜」

後ろから、肩にポンと手が置かれて振り返って見ると、スポーツ少年がそこに居た。


「―――いつも、この3人で帰っているのか?」

「そうだよ」

ツナが楽しそうに答える。

「…じゃあ、今日は俺も交ぜてもらって良いか…?」

途端に不良男子の顔が険〈けわ〉しくなって、

「そんなの駄目に決まっt『良いよ』―10代目!?」

言われた言葉に視線を落としそうになったら、ツナが言葉を遮った。

「まだ2人に言って無かったけど、羚君、今は俺の家に居るんだ」

――『泊まってる』とも『居候』とも言わなくて、ただ『居る』という事。
それは俺の心に、少しの温もりを与えた。


「あれ、何でまた泣いてるの…?」

ツナが俺を見た。

どうやら今度は、嬉し泣きをしたらしい。

それを伝えたら疑問符を浮かべられた。

「――だって、俺、ただの居候なのに…」

ツナは更に疑問符を増やし、

「…羚君はもう、俺の家族だよ?」

何を今更、みたいに言われた。





―――家族。


この世界に来て、無くしたと思ってた物。


父さん、母さん。


俺、この世界に居る間は、


この人達の『家族』やってて良いかなぁ?



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ