日常編

□標的6_体育祭
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―――本日は体育祭。


生徒達が、群れに群れて、おアツ〜い…日だ…





でもそれも、後は午後の競技で終わる―――


の、だが…








「あいつがB、C組の主将達をやったらしいぞ」

「へぇ〜、あの1年A組のダメツナが〜?」


うるさいハエどもが、周囲にたかっている。



「ところで雲霓、お前なんで んな所にいんだよ」

「お前B組だろ?」

「まさかスパイとか?」


笑う男子達に、怒りが込み上げる。


(んなワケがあるか…っ)


私は現在、私のボスであり、A組棒倒し主将の沢田 綱吉―――

ツナ達と昼食をしていた。






B、C組の主将達がやられたと言う時既に、ツナと一緒だったから事のあらましは大体分かっている。
C組代表は彼の挑発に容易く引っ掛かった獄寺と笹川了平が起こした物だし、B組代表襲撃は、ツナにとって全く与り知らぬ所で引き起こされた物だった。
大体、私の知っているツナは、人を蹴落とす事を率先して出来る様な人では無いのだ。
それを、彼らは知った様なフリして犯人に仕立て上げて…

必死に怒りを抑えるも、段々と我慢できなくなった私は、肩を振わせ始めた。


「雲霓、さん……?」






私の怒りの原因、第1―――



「雲霓、お前そんなヤツらといないで、あっち行こーぜ」

「そーだよ。そんな奴等といねーでさー」



―――到底理解出来ない彼らの言い分。







そしてもう一つは―――


「そんなヤツらとは何だ!!」


喧嘩腰になっている獄寺。
彼らは昼食中くらい、静かに出来ないのか。


「どいてなさい、隼人」

「…ビアンキ…」

「あっちより、コッチの方が危ないわ」



指差す方は――――











私だ。





「嗚呼―――もう、我慢、できない―――」



私は小さく、声を震わせる。



「雲霓…さ…ん……??」


「―――――あなた達、



…群れるなら他所でやりなさい!!」



「んな〜〜!??」

「…も…もしかして…コイツも…」

「―――雲雀と似てるな」


大体、大勢の人間の中に居るのは人と関わるのを避けて来た私には到底我慢出来ないのだ。
それも、こんな下品で矮小で煩いヤツらなんてーー







「―――僕が何だって?赤ん坊」


怒りに打ち震えていると、何処からか雲雀が現れた。





「雲雀さん!!」

「…よ、よりにもよってお前…こんな時に…!」



「応接室から見ていたら、こんなにスゴイ群れを見つけてね。
咬み殺したくなったんだ


口角を上げる雲雀。
それは、無邪気な笑顔なんかでは無く、笑みは狂気に染まっていた。


エェ〜〜〜!!?

「下がっててください十代目!!コイツはオレが!!」


雲雀は獄寺が一歩前に出てツナを庇う様に立つのを一瞥した後、


「それに、ちらっと目に入った風紀の腕章―――誰かと思ってね」


視線の先を他に変えた。


「それって―――」


雲雀の見る方を向くように、ツナが私の方を見る。


「…私?」


雲雀の視線を感じた私は、何故か怒りが静まっていた。
きっと本能的に、彼は私が留めなければならない、とでも思ったのだろう。



「…やっぱり君か。
風紀委員なのにそんなに群れているなんて、お仕置きが必要だね」

「お、お仕置き―――?!」


私に向けられた言葉なのに、ツナの方が先に反応する。
この反応速度、流石はツッコミ担当、と言った所だろうか。


「私だって、好きで居るんじゃない」

「…それならいいよ。
来週一週間、応接室で仕事してくれたらね」

「―――それって…」

「授業にも行っちゃいけないよ」


「はぁ―――仕方ない、か…」



雲雀の理不尽さには、ホトホト呆れる。







「さて、君達はどうしようかな」


雲雀が、順にツナ達を、そして、B・C組の、周りに来ていた人達を舐め回す様に見回していった―――







不敵な笑みを浮かべて。







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