日常編
□標的5_調理実習
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現在、五限目の授業中。
私達一年B組の女子は、調理実習を行っていた。
作るものはクッキー。
他の女子達はクラスの男子にあげるらしいが、私は―――
―――回想―――
昼休み。
私は朝に電話で雲雀に言われたとおり、応接室に来ていた。
「何で朝、来なかったんだい?」
「何でって…、無理でしょ普通!!?
あの電話あってから、1分後には授業始まるんだったんだから!!」
「へぇ…君、ちゃんと授業出てるんだ」
「当たり前でしょ!!?貴方と一緒にしないでよ!!」
私が理不尽な雲雀に反論すると、彼は口角を上げた。
「まあ、朝来なかったのは、一つ頼み聞いてくれれば無しにしてあげるよ」
「―――…私に何をさせる気?」
「君の次の授業、調理実習だったよね?」
「そうだけど…それをどうして…」
楽しそうに笑う雲雀に、不信感が募る。
「その時に作る物、クラスの男子に渡さないで、僕の所に持って来てよ」
「―――…はあ?」
「僕が食べるから」
―――回想終了―――
(でも何で、雲雀はあんな事言い出したんだろ?)
私の作ったものを貶すためか、それとも―――
(ナイナイナイ。それは、ない)
私の作ったものを食べたいなんて、雲雀が思うわけ―――
「雲霓さん!!卵の殻入ってるよ!!」
「へ?」
どうも、考え事に気をとられ過ぎて、卵の殻を間違えて入れてしまったようだ。
「あ、ゴメン…ボ――ッとしてた」
このままで、果たしてちゃんとしたクッキーができるのか…
―――下手したら、本当に雲雀に笑われて、貶されかねない。
(よし。雲雀に一泡吹かせてやろう)
私は雲雀に貶されないためにも、しっかりとクッキーを作る事にした。
(…でも、雲雀にあげる為に美味しいクッキーを作るなんて、なんかな〜…)
少々不服に思いつつも、同じ班の子に迷惑を掛けないように、美味しい物を作る事にした私だった―――
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