おとしたのーと。
□紫陽花
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家を出てから、40分程経った。
『ねぇ骸、何処に行くの?』
「クフフ、秘密、です」
口元に立てた人指し指を当て、優雅に微笑む骸。
そんな彼に追求を止めるという行為を、この数十分の間に何度繰り返しただろう。
『なら、後どの位で着く?』
「もう5分も無いですよ――…、おや?」
唐突な骸の疑問符に、彼の視線の先――空を見上げる。
と、同時に。
ぽつ、ぽっぽつ―――
ザザ――――
『ぅわっっ!!』
急に激しい雨が降りだした。
「ッ―――走りますよ、緋露っ」
『え、あ、ちょ』
繋いだ手はそのままに、彼は私を引くように走り出す。
いきなりであったのと、リーチの長い彼。
後ろを付いてく私の足がもつれそうになったのは仕方がないと思う。
神社の境内に差し掛かった。
『骸っ、此処で雨宿り、してこう!』
「、はい」
転けそうになってから少しスピードを落としてくれていた骸と共に、階段を駆け上がる。
そして辿り着いた社(やしろ)で雨宿りさせて頂く事にした。
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