七日間のキセキ。

□助っ人
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「――――んぅ……」

「、――っ」


とある茂みの中。

身を潜める影が2つ、そこにはあった。


「あ、れ…―――、痛っ!?」

「お、オイッ!!」


横たわる1つの影が身体を起こそうとしたと同時。

その影は痛みに動きを止めた。


「葉月、大丈夫……な訳ねーか。お前、背中撃たれたんだよ。――…それに、俺達が助けるまでに散々怪我負わされてただろ」

だからしばらく動くな。

そう言って、片方の影――獄寺は視線を他所に向ける。


「――…なぁ、山本、は?」

起き上がるのを断念したもう片方の影――羚は、助けに来ていたはずの、もう1つの姿を視線だけを動かす事で探す。

「…あいつはまだ、……」

言葉尻を濁す獄寺に、大方の状況を理解した。

「じゃあ、ツナは?」

「………」

2人が来ている。

それならば必然的に彼も来ていると考えて間違いない無いだろう。

そう思った羚の言葉。

しかし、返って来ない返答に苛立ち見れば、先とは違い、此方をじっと睨むように目を細めて見る獄寺が居た。


「、何?」

敵視に近い視線。

耐え兼ね出た声は、かすれていた。

ゆっくり、獄寺の口が開く。

次の言葉は耳に入る事は無く、動きだけの映像がスローモーションで瞳に映った。



「お前、―――…女、なのか?」



読唇術が無くとも簡単に読み取れる言葉。

だが、その意味を理解するのに要した時間は、10秒。

「―――………な、」


なに言ってるの?


そう続けようとした。

でもそれは叶わない。


「悪い、とは思ったが、止血するのに一遍な、」

少し紅潮する頬。

それが分からない程、羚も鈍感では無かった。

血が逆流でもしたかの様に全身の血液が顔に集まる。

もっとも、それは錯覚というヤツで、実際はそんな事ないのだろうが。


「わ、悪りぃ!!」

自分の表情を見られたく無くて下に向けた視線。
そして強く握った拳。

それらを見た獄寺は、羚が怒りで震えていると勝手に勘違いしたらしい。

慌てた様に頭を下げてきた。


(――あぁ、こんなのは彼のキャラじゃないだろ)

なんて密かに思ったのは心の内にしまい込んで、

「怒って、は無い。あと、さっきの答え―――女、っていうのは間違ってない」

答えた。



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