七日間のキセキ。
□助っ人
2ページ/3ページ
「――――んぅ……」
「、――っ」
とある茂みの中。
身を潜める影が2つ、そこにはあった。
「あ、れ…―――、痛っ!?」
「お、オイッ!!」
横たわる1つの影が身体を起こそうとしたと同時。
その影は痛みに動きを止めた。
「葉月、大丈夫……な訳ねーか。お前、背中撃たれたんだよ。――…それに、俺達が助けるまでに散々怪我負わされてただろ」
だからしばらく動くな。
そう言って、片方の影――獄寺は視線を他所に向ける。
「――…なぁ、山本、は?」
起き上がるのを断念したもう片方の影――羚は、助けに来ていたはずの、もう1つの姿を視線だけを動かす事で探す。
「…あいつはまだ、……」
言葉尻を濁す獄寺に、大方の状況を理解した。
「じゃあ、ツナは?」
「………」
2人が来ている。
それならば必然的に彼も来ていると考えて間違いない無いだろう。
そう思った羚の言葉。
しかし、返って来ない返答に苛立ち見れば、先とは違い、此方をじっと睨むように目を細めて見る獄寺が居た。
「、何?」
敵視に近い視線。
耐え兼ね出た声は、かすれていた。
ゆっくり、獄寺の口が開く。
次の言葉は耳に入る事は無く、動きだけの映像がスローモーションで瞳に映った。
「お前、―――…女、なのか?」
読唇術が無くとも簡単に読み取れる言葉。
だが、その意味を理解するのに要した時間は、10秒。
「―――………な、」
なに言ってるの?
そう続けようとした。
でもそれは叶わない。
「悪い、とは思ったが、止血するのに一遍な、」
少し紅潮する頬。
それが分からない程、羚も鈍感では無かった。
血が逆流でもしたかの様に全身の血液が顔に集まる。
もっとも、それは錯覚というヤツで、実際はそんな事ないのだろうが。
「わ、悪りぃ!!」
自分の表情を見られたく無くて下に向けた視線。
そして強く握った拳。
それらを見た獄寺は、羚が怒りで震えていると勝手に勘違いしたらしい。
慌てた様に頭を下げてきた。
(――あぁ、こんなのは彼のキャラじゃないだろ)
なんて密かに思ったのは心の内にしまい込んで、
「怒って、は無い。あと、さっきの答え―――女、っていうのは間違ってない」
答えた。
.