七日間のキセキ。
□秘密
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「――何を言っても、笑わないでくれるか?」
羚君はそう言って、俺の目を見返した。
一体、何を言うつもりなのだろう。
とは思ったけど、彼の瞳には戸惑いこそ浮かぶものの、冗談を吐く様には見えなかった。
だから俺は迷わず頷き、リボーンも「当たり前だ」と答えた。
でも。
「――俺、異世界から来たんだ」
その言葉を理解する事は難しくて。
俺は目を見開いたまま、固まってしまった。
「……やっぱり、信じてくれないよな」
羚君の声で我に返り、彼の目を見ると、今にも涙が溢れ出しそうだった。
それでも彼は、話を切る事は無かった。
「俺は、車に轢かれたんだ。その後、気付いたら見知らぬ商店街に居た。
――そこが、奈々さんと出会った場所、並盛商店街だったんだ」
――――知らなかった。
何で「家が無い」のか。
何で「寂しそう」なのか。
それは、
『この世界には』帰る場所が無くて、
『この世界には』家族も友達も居ないから。
親が死んだ訳でも無い。
友達が居なかったワケでも無い。
なのに、
周りは誰も知らない人だけで。
――そんなの、俺だったら堪え切れない。
でも、彼はその中でも生きようとしている。
苦しくて、涙が溢れてきても。
ほら。
今も―――――――
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