七日間のキセキ。
□迷子
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―――しまった。
と思った時には、時すでに遅し。
この世界に来て、まだ2日目なのだから、迷ってしまうのは当然とも言うべきで。
つまり。
俺は、全く未知の世界で迷子になっているのだった。
「…どうしよ…」
脇目も振らず、ただその場から離れる事だけを考えていたものだから、何処をどう通って来たのかさえ解らない。
闇雲に辺りを彷徨いても、更に解らなくなる可能性の方が高い。
近くに公園があつたので、そこへ行く。
すでに日が暮れて、子供達の居ない、寂れた空間。
俺はその場所にあったベンチに座った。
(…あぁ、俺、何してんだろな…)
いきなり知らない世界に来て、不安に思わない方が可笑しいのだろう。
が、俺はこの世界に来てから、周りに迷惑ばかり掛けてしまっている。
きっと今、『家族』と言ってくれたツナや、リボーン、山本、――獄寺…はどうか判らないが、皆が俺の事を捜してくれていると思う。
――というか、そうであって欲しい。
自分では、元の場所に戻れないし。
………不安、だ。
(歌…、歌おうかな……)
いつも不安になると、歌を歌って気分を紛らわす。
それに、声がすれば見つけてくれる確率も、少しは上がるかも知れない。
そう思った俺は、歌い始めた。
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